フィリピン・カリンガ族の文化をモチーフにしたジュエリー「EDAYA」が2周年、「伝統をベースに産業を作りたい」と山下彩香さん

1014山尾さん3image[1]写真のモデルはフィリピン・カリンガ族

フィリピン・ルソン島北部の山岳地帯に住む先住民族カリンガの伝統的な生活用具や楽器などをモチーフにしたジュエリーブランド「EDAYA」の2周年記念パーティーが先ごろ、東京・表参道で開かれた。

EDAYAは、日本人の山下彩香さんとカリンガの伝統楽器奏者バナサンさんが立ち上げたブランドだ。「2周年を機に、初心に立ち返って制作した」という新作ジュエリーは、ピアスやネックレスなど全部で9点。新たに加わったシリーズの名は「PULCHUS」。カリンガの言葉で「私はここにいる、私らしくいる」という意味だ。

山下さんはこれまで、「マイノリティの文化を継承する」ことを前面に出し、ブランド展開してきた。ところが、EDAYAを立ち上げた時の気持ちと現在の活動内容が次第に離れていく気がしていたという。そこで2周年の節目で発表した今回の新作は、「マイノリティのエンパワーメントを芸術を使って引き出す」という、本来の目的に回帰したシリーズとなっている。

竹の根をそのまま生かした形のピアスなど、あまり見かけないデザイン。フィリピン名産の白蝶真珠も使われている。実際に手に取ってみると、見た目と違ってと ても軽く、つけやすそうだ。ジュエリーはすべてカリンガの職人による手作り。新作の広告モデルにはカリンガの女性を起用した。

山下さんは「フィリピンでは“工芸は何もできない人がするもの”という認識がある。カリンガの若者たちは、目先のお金を手に入れるために鉱山労働者にな り、村を離れてしまう」と懸念する。そんな状況では伝統の担い手が村からいなくなり、技術は失われていくばかりだ。山下さんの目標は「途上国の田舎で10~30人規模の伝統にまつわる産業のロールモデルを作ること」。カリンガがもつ伝統的な技術を手段として、彼らが自立できる日が来ることを願い、これからも活動していく。1014山尾さん2image[1]