レゲエを聴きながら走る、世界一楽しいマラソン大会

5時15分、レース開始直後の写真。すべての参加者が同じ時間にスタートする(ジャマイカ観光局Visit Jamaica facebookページより)5時15分、レース開始直後の写真。すべての参加者が同じ時間にスタートする(ジャマイカ観光局Visit Jamaica facebookページより)

12月に入ったジャマイカでは、道ばたからタクシーの中まで、いたるところでクリスマスソングを聴くようになった。しかし、ジャマイカの12月の一大イベントはクリスマスだけではない。毎年第一土曜日には、ジャマイカ西部の町ネグリルでレゲエを聴きながら走る「レゲエマラソン」が開催されるのだ。

2000年からスタートし、今年で13回目を迎えたレゲエマラソン。ランナーとして参加した様子を写真とともにレポートする。

レゲエマラソンは国籍に関係なく、誰でも参加できる。体力には自信がない、という人も大丈夫。フルマラソン、ハーフ、10キロメートルのカテゴリーから自由にエントリーが可能だ。今年は、30以上の国から1800人を超えるランナーが集い、およそ1700人が完走した。

大会前夜にはパスタパーティーが催され、エントリーしたランナーは、パスタ食べ放題だ。ネグリル周辺のレストランのシェフが腕を振るったパスタが存分に食べられる。

お腹いっぱいパスタを食べた後は、早めに就寝。なぜなら、レースのスタート時間は朝の5時15分。もちろん夜明け前なので、月と星に見守られながらの出発だ。仮装しているランナーもいたが、夜が明けてからこんな格好をしていたのか、とわかるほどに暗い。

さて、私は10キロメートルにエントリーした。トレーニングを積んでいなかったので、走りきる自信もなかったが、町中で流れるレゲエ音楽のリズムに思わず脚が動いてしまう。スタート地点からしばらく走った道路脇にはバンドが生演奏。その後も、道すがら、サウンドシステム(移動式の音響設備)から、陽気なレゲエが流れてくるのが楽しい。

観光地として有名なセブン・マイル・ビーチに沿った、曲がり角のない平らな道を、時々休憩しながら走り抜けた。星空がだんだんと明るくなり、朝日が昇ってくる。道路脇には陽気なジャマイカ人が「ミス・チン!」(アジア人女性を示す呼び名)と声をかけてきたり、「ジャマイカへようこそ!」と応援してくれた。10キロメートルであれば、7時前には走り終えてしまう。

完走した証のメダルを首にかけてもらうと、生のココナツウォーターで喉の渇きを癒し、同じくジャマイカ産のバナナで栄養補給。ジャマイカのビール会社レッドストライプは無料でビールを配布しているので、完走した記念に乾杯するランナーもいれば、目の前に広がる海に入って汗を流す者もいる。無料で受けられるマッサージには長い行列ができていた。

ちょっと変わったマラソンに参加したいのなら、ぜひジャマイカへ。ジャマイカの雰囲気をからだいっぱい満喫できること請け合いだ。

ゴール後には生のココナツをその場で割ってもらって飲んだ。南国ならではのおもてなしだ(ジャマイカ観光局Visit Jamaica facebookページより)

ゴール後には生のココナツをその場で割ってもらって飲んだ。南国ならではのおもてなしだ(ジャマイカ観光局Visit Jamaica facebookページより)

完走者全員がもらえる記念メダル。走る距離によって色が違う。緑色は10キロメートル用

完走者全員がもらえる記念メダル。走る距離によって色が違う。緑色は10キロメートル用

完走後、一緒に参加したジャマイカの青年海外協力隊員とともに撮影。「I finished!」の看板は、ジャマイカの新聞社オブザーバーが用意したもの

完走後、一緒に参加したジャマイカの青年海外協力隊員とともに撮影。「I finished!」の看板は、ジャマイカの新聞社オブザーバーが用意したもの

 

原 彩子(はら・あやこ)
ジャマイカ・ポートアントニオ(ポートランド州)で活動する青年海外協力隊員(職種:環境教育)。埼玉県出身。日大芸術学部卒。在学中は、フィリピンの児童養護施設を運営するNPO「CFF」で奨学金支援チームのメンバーとして活躍。電機メーカーに3年半勤務した後、2012年2月から、ジャマイカの農業NGO「ジャマイカ4-Hクラブ」ポートランド事務所で活動中。