「貧困削減ではない」、ミャンマーのマイクロファイナンス機関ソシオライトの場合

ソシオライトのミッションについて語るウィン氏ソシオライトのミッションについて語るウィン氏

ミャンマー・ヤンゴン中心部から車で1時間半のところにあるシュエピタ。そこに、稲穂と樹林の田園風景の中に3000人が住むバラック造りの集落がある。ここが、ミャンマー有数のマイクロファイナンス機関ソシオライト基金が活動する場所のひとつ。

竹で編んだ床、トタン屋根。10畳と8畳程度の2部屋に炊事場。これがニン・ビェーシェンさん(33歳)の住居だ。彼女は瞳を輝かせる。「5万チャット(約5000円)で仕入れた豚を育てて、半年後には20万チャット(約2万円)で売る」。売ったお金で何を買うのか尋ねると、彼女は「次の豚を買う。貯金。そして子どもの教育費」と答えた。11人家族の彼女の家には、照明器具以外の電化製品は一つもない。

ソシオライトの代表者、ウィン氏(74歳)は強調する。「マインドセット。とにかくマインドセットが重要だ」

マイクロファイナンス機関は貧困削減などをミッションとする。貧困者(国連の定義では、1人当たり1日1.25ドル以下の収入の人々)に自立のための50~100ドル(約6000円〜1万2000円)の小口融資を行うからだ。

ウィン氏は続ける。「収入を増やして、貧困から脱出することが目的ではない。貧困者こそ、子どもの教育のために資金が必要なのだ。教育を受けた子どもが成人して自分で子どもを持ったときに、さらに高い教育を子どもに与える。貧困ではなく『進歩』を受け継ぐこと。そのために必要なのが教育だ」