ミャンマー美女が日本式ボーイズラブに熱狂、旬ジャンルはK-POP!

0216荻野さん、ネンダー・リンティン - コピーEXOとボーイズラブのファンを自負するネンダー・リンティンさん(左)

ボーイズラブ(男性同士のラブストーリー=BL)とK-POP。日本と韓国が誇るこのポップカルチャーは現在、ミャンマーで10代の女性を中心に大ブームだ。相反するこの2つが共存しているのは、ミャンマーの宗教観と多くのBL小説がアップされている小説投稿サイト「Wattpad」が関係している。

「韓国のアイドルグループEXOのメンバーたちが大好き。ミャンマーには、あんな足が長くてハンサムでクールな男はいないもの」。ヤンゴン大学で英語を専攻しているネンダー・リンティンさん(19歳)は熱心に語る。だが、彼女には自分とEXOメンバーとの恋愛よりも心を躍らせるものがある。それがBLだ。Wattpadではプロ、アマチュアの小説が24カ国語で掲載されている。その中でも人気のジャンルは、世界中のK-POPファンが書く男性アイドル同士のラブストーリーだ。

多くの東南アジアと同様、ミャンマーでは韓国のポップカルチャーが大人気だ。米国や日本の無料のエンターテイメントと違い、無料で大量に放送される韓国のエンターテイメントはミャンマーの老若男女にも欠かせない存在となっている。

特に男性アイドルグループの人気は根強く、一足先にブームになったマレーシアやインドネシアの女性ファンたちの国を超えたファンコミュニティが多数存在する。彼女たちはSNSを通じて交流し、ミャンマーにBLが広まるきっかけを作った。

ファン同士の交流はライブやイベントなどの情報交換だけでなく、SNSでの二次創作の共有を生む。誰もが自分の考えたアイドルたちの最も美しい姿、愛しあう物語を分かち合いたいのだ。Wattpadに投稿されたアイドルたちのBL小説は、瞬く間にミャンマーのファンを魅了した。それが今日のミャンマーBLブームの発端だ。

だが、それだけがミャンマーにBLが広まった理由ではない。いくらSNSが発達しようとも、ロシア正教など、同性愛を禁忌とする倫理観を持つ人々の中では、ファンの創作であろうと同性愛を扱った作品を忌避する傾向がある。事実、日本在住のロシア語講師、アナスタシア・鳴沢さんは「フィクションであろうと同性愛を描いた作品は見たくない」と話す。同性愛を禁忌としない上座部仏教を信仰するミャンマーでBLが受け入れられたのは自然なことだといえる。

ミャンマーの女性ファンの中には、BLから日本文化に興味を持つ者も少なくないという。BLとK-POPのコラボレーションは、この2つをさらに多くの国へ伝える新たな時代のソフトパワーとなりうるかもしれない。