4月24~30日は世界予防接種週間、今年のテーマは“格差を埋める”

毎年4月24~30日は「世界予防接種週間」だ。今年のテーマは「格差を埋める」。国連児童基金(UNICEF)などは、すべての子どもが予防接種を受けられる世界の実現を国際社会に訴える。

UNICEFによると、予防接種は、ジフテリアや破傷風、百日咳、はしかなどの感染症から、毎年200万~300万人の子どもの命を守っている。1990年には5歳の誕生日を迎えずに命を落とす子どもは地球上に年間1270万人いた。だが2013年は630万人へと半減。この成果に大きく貢献したのが予防接種だ。

とはいえ、いまだに毎年150万人以上の子どもが、予防接種を受けられず、予防可能な病気で死亡している。13年は2180万人の乳児(約5人に1人)が予防接種を受けられなかった。その理由は、行き着くのが難しいコミュニティで暮らしていたり、貧困ゆえに社会から取り残されていたり、紛争でアクセスが遮断されていることなど。

予防接種の普及状況を病気の種類別にみると、破傷風は99年以降、予防接種の普及で、リスクが最も高い59カ国のうち34カ国で根絶された。しかし13年も約5万人の新生児が命を落とすなど、依然として大きな問題となっている。

ポリオは現在、アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンの3カ国に常在国は絞られた。13年の感染者数は416人と、88年の35万人から激減している。

また、はしかは、予防接種効果で00~13年に1560万人近くの命が救われた。だが現在も、はしかに感染する人は年間2000万人以上。はしかにかかって命を落とす子どもは1日330人に上る。その多くがアフリカとアジアの子どもたちだ。

UNICEFによれば、予防接種は、公衆衛生分野の支援活動で最も費用対効果が高く、最も成功している事業。既存の予防接種事業を拡大すれば、640万人の命を守ることができ、62億ドル(約7400億円)の治療費用と1450億ドル(約17兆円)の生産性の喪失を回避できる可能性があるといわれる。