SVAがネパール山岳地域で「仮設校舎」建設へ、9割が地震で被害

ヌワコット郡にある学校の教室は全壊した。右は校長(SVA提供)ヌワコット郡にある学校の教室は全壊した。右は校長(SVA提供)

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)が5月18日、ネパール地震報告会を都内で開催した。4月25日の地震発生後、すぐに被災地入りした竹内海人氏が、3地域で実施した初動調査に基づき、今後は地元のNGOと協力し、仮設校舎とトイレの建設を行っていく方針を示した。

SVAは、ネパールと隣国を襲ったマグニチュード7.8の大地震の5日後から、竹内氏を含む3人を被災地に派遣。被害状況やニーズの調査、現地カウンターパートとの関係構築のための初動調査を実施した。調査対象は、首都のカトマンズ市内とその郊外、カトマンズの北西に位置するヌワコット郡、ラスワ郡の3地域。調査に加え、ヌワコット郡では、現地で調達した毛布やビスケットなどの緊急支援物資を約100世帯に配布した。

SVAの地元カウンターパートであるNGOネパール全国地震技術協会(NSET)の調査によると、ヌワコット郡の485の学校のうち、約90%で倒壊や壁が崩れるなどの被害を受けている。ネパール政府は震災後、 校舎の安全性を確認するために国内のすべての学校を臨時休校し、5月15日に学校を再開するとしていたが、 12日にネパール東部で再びマグニチュード7.3の地震が発生したため、29日の再開に延期された。しかし、各地で校舎自体が倒壊し、再開のめどが全く立っていない学校もあり、一部の学校では5月中の再開実現は厳しいとみられている。

また、ラスワ郡で行った女性への聞き取りでは、男性が出稼ぎに出ている家庭が多く、復興のためのマンパワーが不足している状況が浮き彫りとなった。そして、家庭での子どもの世話に時間をとられ、復興のための作業に力を入れることができないため、 子どもたちが早く学校に通えるようになることを望む声も多い。竹内氏は「学校再開のためには、仮設校舎の建設が急務である。今後もNSETと協力し、ヌワコット郡とラスワ郡の一部に仮設校舎とトイレの建設を行う予定だ」と語った。

国際連合児童基金(UNICEF)によると、今回の地震で学ぶ場を失った子どもの数は約100万人に上る。