2015-11-24

OECD、格差の削減と教育資金の確保が主要な課題 – Education at a Glance 2015年版

政府は持続する教育格差に取り組み、教育制度における効率の改善に焦点を当て、すべての子供がその出自にかかわらず、能力を十分に発揮し、教育の恩恵を受けられるようにする必要があると、Education at a Glance 2015(図表でみる教育2015年版)は述べています。

それによると、過去25年にわたる教育の拡大の結果、現在25-34歳の人々の約41%が高等教育を修了するようになりました。しかし、教育格差は依然として存在し、それが労働市場と経済に深刻な影響を及ぼしています。2014年には、後期中等教育を受けていない成人で仕事に就いていた人は60%未満でしたが、高等教育を受けた人ではその割合が80%以上でした。

教育格差は収入にも影響します。高等教育を受けた成人が所得の上位25%に入る可能性は、後期中等教育が最終学歴の人よりも23パーセントポイント高くなります。

「『あらゆる人に質の良い教育を』という夢は未だに実現していない」と、アンヘル・グリアOECD事務総長は、本書の発表会見で述べました。「平等な教育の欠如は社会的疎外の最も強力な要因で、人々が経済成長と社会の進歩の恩恵を受ける妨げとなる。」

初等教育における不平等は人々の人生を通じて拡大し続ける、特に生涯学習を受けられるかどうかに顕著に表れます。最も高い技能が必要とされる仕事に就いている労働者の約60%が雇用主が提供する教育に参加しているのに対して、単純作業従事者の場合はその割合がわずか26%でした。

「図表でみる教育2015年版」では、政府が抱える教育資金の問題も明らかにしています。2010年から2012年にかけて、ほとんどの国でGDPが上向きに転じ始めましたが、OECD加盟国の三分の一以上の国々で、初等教育から高等教育までの教育機関に対する公財政支出が減少しました(オーストラリア、カナダ、エストニア、フランス、ハンガリー、イタリア、ポルトガル、スロベニア、スペイン、米国)。

初等、中等教育への予算が削減される中、ほとんどの国々が学級規模を大きくすることではなく教員の給与を削減することを選びました。しかし、OECDのPISA調査からは、フィンランド、日本、韓国といった成績の高い国々がインフラや学級規模よりも授業と教員を優先していることが明らかになっています。

実質ベースで教員の給与が増加している国の数は、2008年から2013年の間にOECD加盟国の二分の一に減少しました。OECD平均で、就学前教育及び、初等教育の教員の給与は同学歴のフルタイム労働者の78%、前期中等教育の教員では80%、後期中等教育の教員では82%です。

このような競争力のない給与では、優秀な人材を教職に惹きつけるのはますます難しくなります。特に2013年には教員の高齢化が進み、中等教育の教員の35%が50歳を超えました。この割合は2005年から2013年の間に3パーセントポイント上がりましたが、ギリシャ、韓国、ポルトガル、スロベニアでは10パーセントポイント、オーストリアでは19パーセントポイント上がりました。

「図表でみる教育」は、世界各国の教育の現状を測った比較可能な統計データを収録しています。OECD加盟国34か国の他、アルゼンチン、ブラジル、中国、コロンビア、コスタリカ、インド、インドネシア、ラトビア、リトアニア、ロシア、サウジアラビア、南アフリカの教育制度を分析しています。

主な結論

<学歴>

現在の若者の約85%が、生涯のうちに後期中等教育を修了します。すべての国で、若年女性の方が男性よりもその可能性が高くなっています。男女格差が最も大きいのはスロベニアで、若年女性の95%が後期中等教育を卒業する見込みであるのに対して、若年男性は76%となっています(Indicator A2)。

OECD加盟国の現在25-34歳の人々の約41%が高等教育の学歴を持っています。この割合は、現在55-64歳で同等の学歴を持っている人の割合より16パーセントポイント高くなっています。多くの国々で、この差は20パーセントポイントを上回っています(Indicator A1)。

自分が市民権を持っている国以外の国に留学している学生数は、1995年には世界全体で170万人だったものが、450万人以上に大幅に増えました(Indicator C4)。2013年に博士課程を修了したOECD加盟国の学生の約27%が留学生だったのに対して、学士課程ではその割合はわずか7%でした(Indicator A3)。

平均で、高等教育修了者の83%が雇用されているのに対して、後期中等教育または高等教育以外の中等後教育を受けた人の場合は74%、後期中等教育未修了者の場合は56%です(Indicator A5)。

<教育支出>

OECD加盟国は初等教育から高等教育までの平均で在学者1人当たり年間10,220米ドル支出しています。初等教育では児童1人当たり8,247米ドル、中等教育では9,518米ドル、高等教育では15,028米ドルです(Indicator B1)。

高等教育における私費負担割合は、過去10年で増加しています。高等教育における私費負担の約三分の二は家計から支払われる授業料です。データのある国々の半数以上で授業料は2,000米ドルを超えており、オーストラリア、カナダ、韓国、ニュージーランドでは4,000米ドル、日本では5,000米ドル、英国と米国では8,000米ドルを上回っています(Indicator B5)。

OECD加盟国平均で、2012年に初等教育から高等教育まで含めてGDPの5.3%を支出しました(分類不可を含む)。初等教育から高等教育まで、教育機関に対する支出全体の83.5%が公財政支出です。公財政教育支出は、2010年から2012年の間に、OECD加盟国の三分の一以上(オーストラリア、カナダ、エストニア、フランス、ハンガリー、イタリア、ポルトガル、スロベニア、スペイン、米国を含む)で減少しました(Indicators B2、B3)。

OECDの報告書「図表でみる教育2015年版」から引用

OECDの報告書「図表でみる教育2015年版」から引用

<幼児教育>

大多数のOECD加盟国では、大半の子供の教育は今や5歳になる前から始まっています。OECD加盟国全体で3歳児の約74%が教育を受けており、その割合はEU加盟OECD加盟国では80%に上ります(Indicator C2)。

就学前教育の在学率は、2005年は3歳児の52%だったものが2013年には72%になり、4歳児では69%から85%になりました。4歳児の在学率が2005年から2013年の間に20パーセントポイント以上上昇した国は、オーストラリア、チリ、韓国、メキシコ、ポーランド、ロシア、トルコです(Indicator C2)。

幼児教育プログラムに参加する子供の半数以上が、私立機関に通っています。これは、たとえ政府の助成があっても、両親にとって重い経済的負担となっています(Indicator C2)。

<学級>

初等および前期中等教育の児童・生徒は、平均7,570時間の義務教育を受けています。デンマークが最も多くて10,000時間以上、ハンガリーが最も少なくて6,000時間未満です(Indicator D1)。

OECD加盟国の初等教育の学級規模平均は21人、前期中等教育では24人です。学級規模が大きいと教員が授業に費やす時間が少なくなり、学級の秩序維持に費やす時間が長くなります。平均規模の学級に生徒が一人増えると、授業と学習に費やされる時間が0.5パーセントポイント減少します(Indicator D2)。

勤続年数15年の教員の法定給与は、初等教育レベルでは平均41,245米ドル、前期中等教育では42,725米ドル、後期中等教育では44,600米ドルです(Indicator D3)。

「図表でみる教育」のカントリー・ノート、サマリー、主要データなど、詳細は以下のウェブサイトでご覧いただけます。www.oecd.org/education/education-at-a-glance-19991487.htm

プレスリリース:http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/reducing-inequalities-and-financing-education-remain-key-challenges-says-oecd-jp.htm