発熱はエボラではなくマラリアの可能性も、リベリアで抗マラリア薬をMSFが配布

エボラ出血熱が流行しているリベリアで、国境なき医師団(MSF)が抗マラリア薬の配布を始めた。10月31日に発表した。

リベリアは、マラリアの流行国でもある。世界保健機関(WHO)によると、同国の2011年のマラリア発症数は約190万件。リベリアの人口は約419万人(国際通貨基金=IMFの2014年10月調査)だから、半数近くがマラリアにかかる計算だ。

MSFは、リベリアの医療体制がエボラの流行によって弱体化し、マラリアの治療が困難になっていることを懸念。首都モンロビアの西部で10月25日から、約30万人を対象に抗マラリア薬を配り始めた。モンロビアの人口は約97万人(2008年国勢調査)。人口密度が高い地域に住む、医療機関へのアクセスが限られている貧しい住民を優先する。

MSFの 緊急プログラム専門官は「マラリアの初期症状は、発熱、頭痛、倦怠感とエボラに似ている。抗マラリア薬を配布する目的は、マラリアの予防や治療のためだけ ではない。マラリア患者がエボラ感染を疑われ、エボラの治療センターで患者と接触し、エボラに感染するリスクを減らすことにもある」と話す。

抗マラリア薬の配布は、エボラへの感染を避けるため、人通りが少ない早朝に実施する。薬の配布後は、MSFのボランティアスタッフが各家庭を戸別訪問。薬には予防の効果もあるので、マラリアにかかっていてもいなくても薬を服用するよう呼び掛ける。10月29日時点で約10万人の住民が薬を受け取った。

リベリアではまた、WHOの発表によるとエボラ熱の感染者数は10月22日時点で4665人、死者は2705人に上る。