13歳で故郷を離れコロンビア国軍に入隊した50歳の男性、母とはその後一生会えなかった

ジョン・エドガーさんは現在、コロンビア内戦で民間人を殺した元兵士らが協力して立ち上げた団体「ファンデーション・エキポ・レスタウラドール」の一員として、かつての激戦地だったメデジンのコムナ13(13地区)などで道路を修復するといった勤労奉仕活動をしている。垂れ幕の下に書いてある「SANANDO HERIDAS」とはスペイン語で傷を癒すの意

民間人を殺した過去も

エドガーさんには忘れられない思い出がある。2003年7月から8月まで、アンティオキア県南東部のプエルトバディバという森林に囲まれた村でFARCと戦っていた時のことだ。国軍兵35人に対し、FARCの勢力は300人と圧倒的に不利な状況だった。

結局、国軍兵35人のうち8人が死亡。19人がけがを負った。FARCの兵士も36人が死亡する大きな戦闘だった。

エドガーさんは戦闘が終わった後、FARCの兵士にも応急処置をした。「殺し合いの場であっても助け合いは大切だと思った」と語る。と同時に、自分の無力さを痛感した。苦楽をともにしてきた8人の仲間が命を落としたことはエドガーさんにとって辛い経験となった。

エドガーさんの辛い体験はこれが最初ではない。アンティオキア県のジャルマルで2002年、FARCとの戦闘があった。戦闘で人が死ぬのを初めて目にしたエドガーさんはその後何度もその状況が目に浮かび、自分を責めるようになる。

心理的なストレスを抱え、カウンセリングに4年通った。戦闘での自分の経験をカウンセラーに聞いてもらい、「自分が悪いのではない」と少しずつ前向きな気持ちが持てるようになった。料理をすることもストレス解消になった。得意料理はスダド(鶏肉の蒸し料理)とフリホーレス(豆の料理)だそうだ。

2010年のFARCとの戦闘中にエドガーさんは民間人を殺した。それを「ゲリラを殺した」と偽って伝えたため刑務所に入れられた。このころ、コロンビア国軍の兵士たちが一般市民を殺害し、ゲリラ(FARCやELNなど)の戦闘員として偽装して報告した事件(ファルソポジティーボ)が横行していた。政府が掲げた「テロとの戦い」「麻薬戦争」の成果を示すため、殺害した人数を「戦果」として報告し、兵士たちが昇進やボーナスを得るために行われたのだ。

エドガーさんが入った軍の刑務所には300人程度が収監されていた。計7年刑務所で過ごし、2017年5月に刑務所を出た。収監人数は1000~1500人に増えていた。

内戦被害者のためにボランティア

エドガーさんはいま、メデジンの貧困地区で建設作業員として働く。そのかたわら得意の料理を振るまったり、道路を修復するなどのボランティア活動に邁進している。「自分の料理を食べてもらうことが今の生きがい」とエドガーさんは語る。

彼の目標は、内戦で貧しくなった被害者を助けられるよう、料理と道路の修復を続けることだ。「長生きして、少しでも多くの被害者のために尽くしたい」と話す。

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