道端で柔道を始めた17歳のセネガル人、10月のダカールユース五輪で金メダル目指す

柔道アカデミーの道場で練習中のマゲット・ジョップ選手(右)。畳の上に上がると、取材中のシャイな表情は消える。果敢に攻めるその姿からは内に秘めた力強さがまっすぐ伝わってくる。左はJICA海外協力隊の柔道隊員

道端での柔道が原点のセネガル人男性がいる。マゲット・ジョップ選手、17歳だ。「柔道をやめようと思ったことは一度もない」と柔道愛を語るジョップさんは、セネガルの首都ダカールで2026年10月31日に開幕するユースオリンピックで金メダルの獲得を目指す。

ダカールから約80キロメートル離れた海沿いの街ンブール。砂ぼこりが舞う道端で体をぶつけ合う。そこがジョップ選手の原点だ。道場がない中で、当時10歳(2019年)だったジョップ少年の柔道人生はスタートした。

「柔道では試合で攻めていく感覚が好き」とジョップ選手。“ストリート柔道“を始めてすぐ、近所に道場ができた。

柔道浸けの日々

道場を運営するのはンブールの柔道クラブ「ソモン・バオバブ」だ。そこで出会った指導者シャール・ンジャイ氏が後にジョップ選手の恩師になる。

練習は厳しく、時には3キロメートルの全力疾走を課されることも。だが練習を離れれば優しく「親のような存在」だった。

ンジャイ氏の指導のもとジョップ選手は徐々に頭角を現していき、2022年の国内大会で金メダル。それが認められ、4年前に、ダカールにある柔道アカデミーのセレクションに合格し、そこに入った。

ラミンゲイ高校に併設された柔道アカデミーはフランスとセネガルが共同で立ち上げたものだ。選手らは寄宿生活を送りながら、平日は高校で授業を受け、朝夕の練習に励む。

ジョップ選手はそこで柔道漬けの日々を送る。日曜日以外は毎日練習する。平日は朝1時間、授業が終わった後は2〜3時間、土曜日は地元の柔道クラブで汗を流す。生活のすべてが柔道につながる。

ジョップ選手には両親と4人のきょうだいがいる。だが現在は柔道アカデミーで暮らしているため、家族と過ごす時間は少ない。「頑張って柔道で成功したい。練習は厳しいけれど、柔道は楽しい。大好きだ」と語る。

ジョップ選手にとって柔道は好きなだけではない。「礼儀、尊敬、誠実さ、親への感謝といった生き方を学べるもの」と17歳の少年は語る。

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