2015-07-13

世銀、「グローバル・ファイナンシング・ファシリティ」が始動、2030年に向け母子保健に数十億ドル動員

エチオピア、アディスアベバ、2015年7月13日—国連、世界銀行グループ、カナダ、ノルウェー、米国の各国政府は本日、保健分野における世界の主要なリーダーと共に、「女性、子供及び青少年の健康のための世界戦略(Every Woman Every Child)」を支援する「グローバル・ファイナンシング・ファシリティ(GFF)」を立ち上げた。最初に支援対象となるのは、コンゴ民主共和国、エチオピア、ケニア、タンザニアの4カ国で、これらの国が女性、子供及び青少年の健康に対して策定した5カ年投資計画に充てる資金として、内外の官民両セクターより120億ドルの調達が見込まれる。

「第3回開発資金国際会議」の場で発表されたGFFは、国連事務総長の「女性、子供及び青少年の健康のための世界戦略」と「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援する主要な資金調達プラットフォームである。

今回の発表に当たり世界銀行グループは、グループ機関である国際復興開発銀行(IBRD)とGFFによる新たなパートナーシップの立ち上げを明らかにした。同パートナーシップは、「性と生殖に関する健康と、母子保健(RMNCAH)」の改善に対する資金が大幅に不足している国々を対象に、必要な資金を資本市場で調達するという画期的なもので、GFFに対する1ドルの投資につき、民間資本市場から3~5ドルの動員が見込まれている。同パートナーシップに対してカナダ政府はいち早く、(1)現地の保健医療システムの強化と地域の医療従事者の増強、(2)子供の死亡率低減のためのマラリア抑制、という2つの重点課題への取り組みに対し、4,000万ドルを投入すると発表した。

さらにビル&メリンダ・ゲイツ財団と、カナダ、日本、米国の各国政府は、新たに総額2億1,400万ドルを提供する用意があると発表した。これは、世界銀行グループが運営するGFF信託基金に対するノルウェーとカナダ政府による、それぞれ6億ドルと2億ドルの拠出誓約に追加してである。

各国の保健分野の優先課題・計画への支援資金の増強・動員、世界中の女性、子供、青少年の健康の改善については、各国、国連機関をはじめ、世界銀行グループや世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)、GAVIアライアンスなどの国際機関、官民両セクターの金融機関、市民社会組織によりこれまでも様々な取組みが進められてきたが、GFFの取り組みはかつてない規模となるだろう。本日の発表は、RMNCAHに対する年間不足資金333億ドルを補うための第一歩でもある。

GFFパートナーはまた、今後5年間に深刻な課題に直面する62の低所得国と低位中所得国を支援することを目標に、次の支援対象国としてバングラデシュ、カメルーン、インド、リベリア、モザンビーク、ナイジェリア、セネガル、ウガンダの8カ国を発表した。

民間セクター投資を活用して女性、子供及び青少年の健康改善を目指す新たなGFF-IBRDパートナーシップ

GFFの主な目的は、女性、子供及び青少年の健康改善に不可欠な支援に不足している資金を、公的資金源だけでなく、民間セクターからも動員することにある。そのためにGFFは、世界銀行グループのIBRDとのパートナーシップの下、RMNCAH改善のための資金が大幅に不足している国々を対象に、資本市場から必要な資金を調達する。

IBRDは、国際資本市場で世銀債を発行して民間セクターから資金を借り入れることにより、開発途上国の持続可能な開発のために、自身の資本金を超える貸出資金の供与を可能としている。GFFとIBRDの新パートナーシップは、IBRDの資金調達基盤の活用、新たなリスク分散の仕組みの導入等により、女性、子供及び青少年の健康改善に必要な資金を国際資本市場からも調達する。

カナダ政府は、このパートナーシップが順調にスタートし、民間資本市場からの資金動員が促がされるよう、いち早く4,000万ドルの提供を発表した。この資金は、(1)現地の保健医療システムの強化と地域の医療従事者の増強への優先的取り組み、および(2)子供の死亡率低減のためのマラリア抑制、という2つの重点課題に充てられる。いずれも、予め合意した結果の達成状況に応じて各国に支払われることから、パフォーマンスを奨励する一方で、当該国の借入コストの大幅軽減にもつながる。このパートナーシップへのさらなる投資は、民間セクターからの大幅な資金増大を触発することになるはずだ。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、「Every Woman Every Child」を支援するため、女性、子供及び青少年の健康のためのグローバル戦略を推進するGFF信託基金に対し、今後5年間で7,500万ドルの資金提供を誓約している。

GFF信託基金は、世界銀行グループが保健分野で融資を行う国へのグラントの提供、低所得国から中所得国への移行が近い国の保健資金調達戦略の支援など、より広範な融資制度の取組みでも触媒的効果を果たしている。GFF信託基金は、政府開発援助(ODA)が各国の保健セクター向け資金に取って代わることがないようにし、資金を持続可能な形で国内調達する道を示すことで、すべての女性と子供が基礎サービスを確実に受けられることを目指している。

GFFのその他のパートナーは、母子の健康に対する当該国の投資計画に対し、各国内での資金提供を通じて支援を誓約しているが、これには米国国際開発庁(USAID)の5,000万ドルのコミットメントが含まれる。この資金は、コンゴ民主共和国、エチオピア、ケニア、タンザニアの国家戦略拡充と母子の予防可能な死をなくす活動に充てられる。また、日本政府は、ケニアの母子保健イニシアティブに対し、3,300万ドルの支援を誓約している。

さらに、カナダ政府が、2030年までに全住民の登録を実現するためのGEFの活動を支援するため、住民登録と人口動態統計の充実を図る世界規模の「センター・オブ・エクセレンス(COE)」の設立と始動に1,600万ドルの提供を誓約している。すべての出生、死亡、死因、婚姻に関するデータの質が改善され入手しやすくなれば、GFFの被支援国にとって、母子保健に対する投資のきめ細かいモニタリングと追跡が一段と容易になる。

世界の健康改善のために投資を行う企業や組織で構成される同盟、GBCヘルスは、実績ベースの新イニシアティブである「ヘルス・クレジット・エクスチェンジ」を通じて、加盟企業のネットワークからの資金調達をGFFに誓約している。

「Every Woman Every Child」を支援するグローバル・ファイナンシング・ファシリティ

GFFは、国連事務総長の「女性,子供及び青少年の健康のための世界戦略」の主要資金調達プラットフォーム。RMNCAH関係者を総動員した国主導型の資金動員パートナーシップとして、2030年までに母子や青少年の予防可能な死をなくす活動を促進するため、各国政府の主導とオーナーシップの下で、賢明な方法で持続的かつ大規模な資金調達を図る。

低所得国における子供の死亡率は、高所得国の15倍以上、妊産婦の死亡率は30倍近くに達する。それでも1990年以来、1億人以上の子供の命が救われてきた事実を踏まえると、低所得国と最もパフォーマンスの高い中所得国の間で死亡率が大きく収束する可能性があり、1ドルにつき9~20%の投資利益率が期待できる、とランセット誌の「健康への投資に関する委員会」は分析している。

GFFはこの収束を促す重要な原動力となるだろう。GFFの成果枠組みは、国連の「世界戦略」の成果枠組み、及び新たな持続可能な開発目標(SDGs)に沿ったものとなる。

GFFは、開発金融におけるパラダイム・シフトにおいて重要な役割を担っており、国内資金と民間フローを解き放ち、結果を重視するために政府開発援助(ODA)は不可欠ではあるものの、その役割は変化しつつあると強調している。さらにGFFは、ポスト2015時代において持続可能な開発目標(SDGs)のための資金調達で先駆的役割を果たす潜在性を秘めている。

http://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2015/07/13/global-financing-facility-launched-with-billions-already-mobilized-to-end-maternal-and-child-mortality-by-2030