2015-08-24

認定NPO法人テラ・ルネッサンス、武器貿易条約(ATT)第一回締約国会議に向けて~日本を含む武器輸出国は、ATTの実効性を損ねてはならない~

2015年8月24日(月)から27日(木)まで、メキシコのカンクンにて、武器貿易条約(Arms Trade Treaty: ATT)の第1回締約国会議が開催されます。

2014年12月24にATTが発効してから初の締約国会議。この会議では、今後の締約国会議プロセスのルールや、締約国が自国の武器輸出入などについてATT事務局に提出する報告書の内容などが検討されることになっています。

しかし、この締約国会議に向けた準備会合等での交渉においては、アメリカなどの武器輸出国が議論に大きな影響力を及ぼしました。その結果として、締約国会議中に非公開の会議を設けて情報が公開されないようにしたり、各国の武器輸出入に関する報告書の内容を一般公開しないことにしたり、NGOなどの参加を制限したりといった方向に議論が進んでいます。

このままでは、第1回締約国会議において、ATTの実効性や武器貿易の透明性を損ねるような決定が行われかねません。参加国政府は、「条約の普遍化(多くの国による参加)が重要だ」という名のもとに、アメリカなどの国々の主張を反映した内容のルールに甘んじるべきではありません。

この会議にあたり、2003年より実効性あるATTの締結を求めて活動してきた「コントロール・アームズ」日本キャンペーンとして、参加国政府――とりわけ日本を含む武器輸出国の政府――に、以下の4点を求めます。

1、会議の透明性を確保する

―政府関係者しか参加できない会合や、議論の内容を非公開にするような会合を設けるべきではありません

―NGOなどの非国家アクターがオブザーバーとして全ての会合に参加できるようにすべきです

2、包括的で詳細な内容の報告書を公開する

―締約国が自国の武器輸出入などについてATT事務局に提出する報告書は、包括的で詳細な内容であるべきです。したがって、報告書のテンプレート自体を、限定的な情報しか盛り込めないような仕様にすべきではありません。

―報告書は完全に公開されるべきです。一部あるいは全部を非公開にすることを可能にすべきではありません

3、ATT事務局の機能を確保する

―ATT事務局は、独立した組織であるべきです。また、ATTの実施において事務局が十分な役割を果たすための資金が確保されるべきであり、事務局の職員の採用は能力本位であるべきです

4、資金拠出メカニズムは公平に

―ATT事務局や締約国会議プロセスのための資金拠出メカニズムは持続可能で公平であるべきです。開発途上国の締約国に過剰な負担を強いるべきではありません

長年の交渉の末に締結されたATTの実効性と武器貿易の透明性が、締約国会議のプロセスを通じて損なわれるようなことがあってはなりません。日本を含む武器輸出国は、報告書のテンプレート自体を限定的な情報しか盛り込めないような仕様にしたり、非公開の会合を設けて情報が公開されないようにしたりといった、ATTを骨抜きにするような主張を支持すべきではありません。

◆「コントロール・アームズ」キャンペーンとは◆

2003年に設立された「コントロール・アームズ」は、アムネスティ・インターナショナルやセイファーワールドをはじめ、多くのNGOや個人から成る国際的なキャンペーンです。日本キャンペーンは、公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本、NPO法人インターバンド、認定NPO法人テラ・ルネッサンス、NPO法人ネットワーク『地球村』の4組織によって運営されています。

プレスリリース:http://www.terra-r.jp/news/press-release/oshirase_ca20150824.html