「おしん」人気はいまも絶大? ミャンマーの女子高生「日本で働きたい!」

ヤンゴンのダウンタウンで小さなコンビニを営む一家。右からテンタースーさん、祖母、母

「将来は日本で働きたいな」。ミャンマー・ヤンゴンに住む15歳の女子高生テンタースーさんはこう目を輝かせる。彼女の一家は、ダウンタウンの一角で小さなコンビニを経営する。店先では、テンタースーさん、母、祖母の3人がいつもそろって客を温かく出迎えてくれる。

テンタースーさんが日本に興味をもったきっかけは、伝説のNHK連続テレビ小説「おしん」だ。おしんは1995年にミャンマーで初めて放送された。反響が大きかったため、その後、何度か再放送を繰り返すように。テンタースーさんが見たのは数年前だったという。

「貧しい人が主人公のドラマはミャンマーでは少ない。主人公のおしんがよく泣くのが新鮮だった。貧しい女の子が一生懸命頑張っている姿に感動した」(テンタースーさん)

ただミャンマーでも一番人気は韓国ドラマだ。日本のドラマや映画は月に1~2回しかテレビ放送されないという。

テンタースーさんが日本を好きな理由は、おしんのほかに、もうひとつある。日本語の発音だ。「中国語や韓国語の音は強い感じがするけれど、日本語はかわいくて、きれい。日本語を聞くのが大好き。お気に入りの単語は『はじめまして』と『よろしく』」

テンタースーさんはいま、母が買ってくれた、日本語学校の教師が出した本を使って日本語を勉強している。だがまだ少ししか話せない。「もうすぐ日本語学校に通うよ」と嬉しそうなテンタースーさん。月謝は10万チャット(約1万円)。ミャンマーではおよそ1カ月分の給料に相当するから安くない。

「将来はヤンゴン外国語大学に入って、日本語を本格的に学びたい。卒業後はサクラタワー(日本企業が多く入居するオフィスビル)の日本企業で働きたい。日本でもいつかは仕事してみたい」。ちなみにテンタースーさんの家とサクラタワーは目と鼻の先だ。

テンタースーさんの夢に母親もエールを送る。「まずはヤンゴンにある日本の会社で働いてみて、自分にあっていると感じたら日本に行くのがいいのでは。でも本当に行ってしまったら寂しい。だけどこの子の夢が私の夢。日本に行くことが夢なら叶えてほしい」

テンタースーさんは「家族と離れるのは寂しい。でも飛行機でいつでも帰ってこられるから」と笑顔。経済がテイクオフし、民主化に突き進むミャンマーで、女子高生は明るい将来を描く。