日系企業のアフリカビジネス、「53%が2014年に営業利益が改善」とJETRO調査

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日本貿易振興機構(JETRO)は、南アフリカ、エジプト、ケニア、ナイジェリア、コートジボワールのアフリカ5カ国に進出する日系企業を対象に、アフリカでの業績や今後の展開、ビジネス上の課題などについてのアンケート「在アフリカ進出日系企業実態調査(2013年度調査)」を実施し、その結果をまとめた。在アフリカ日系企業の業績は上向いていることが鮮明になった。アンケートの実施時期は2013年9月13日~10月23日、回答企業数は112社(有効回答率58.3%)。

■現地の売り上げ増は76%

14年の営業利益(見通し)が「改善」すると回答した企業は53.7%と、「横ばい」の33.3%、「悪化」の13%を大きく上回った。製造業の方が改善と答えた比率が62.5%と高い。また、全体では営業利益が改善した比率は、12年の42.5%、13年の43.4%から右上がりとなっている。

14年の営業利益見通しが改善する理由として、75.9%の企業が挙げたのが「現地市場での売り上げ増加」だ。以下、「輸出拡大による売り上げ増加」(41.4%)、「販売効率の改善」(19%)、「生産効率の改善(製造業のみ)」(12.1%)、「その他支出(管理費、光熱費など)の削減」(12.1%)、「調達コストの削減」(10.3%)など。

一方、営業利益見通しが悪化と答えた企業をみると、その理由は「現地市場での売り上げ減少」と「人件費の上昇」がともに50%で最大。エジプトでは「政情不安」と回答した企業が多かった。

■9割以上が拡大・継続

今後1~2年の事業展開の方向性については59.8%の企業が「拡大」と回答。その比率は、政情不安に直面するエジプトを除くと約7割に達した。5カ国全体でも「現状維持」の34.8%を合わせれば9割以上がアフリカでのビジネスを継続・拡大していく意向。ビジネスを拡大する理由として79.1%が「売り上げの増加」、65.7%が「成長性、潜在力の高さ」を挙げている。

対照的に「縮小」「第3国へ移転・撤退」と答えた企業はそれぞれ3.6%、1.8%。理由は「政情の不安定性(エジプト)」、「第3国にセントラル機能拠点を設立して生産性の向上を図る」など。

アフリカ市場でとりわけ拡大を検討している機能は「販売」が75.8%で断トツ。次いで、「地域統括」18.2%、「生産(高付加価値品)」16.7%の順だった。

■「本社が理解してくれない」

アフリカビジネスの拡大に高い意欲をもつ日系企業だが、さまざまなハードもあるのが現実だ。経営面の課題は何か、との問いに対しては、アフリカ側の問題点として98.2%の企業が指摘したのは「政治的・社会的安定性」だ。これに続くのが「規制・法令の整備、運用」で92.7%。これは具体的にいうと、行政機関の不透明性・対応の遅さ、税制や規制・法令の不明確さなどを指す。

また製造業に限定すれば、90.5%が「資金調達」の問題を指摘。エジプトでは外貨送金規制が、南アフリカでは金利負担の大きさがネックになっていることがわかった。

日本(企業)側の問題点に目を移すと、「本社の理解の少なさ、意思疎通の難しさ」を34.0%の企業が挙げた。このほか、「アフリカ市場に適した製品開発・投入ができていない」(32%)、「自社コンプライアンスと現地ビジネス慣習の不整合」(28.2%)などが続く。「日本人駐在員の人材不足」を挙げる声も24.3%。ただ日本人駐在員を増やすと答えたのは18.9%に上っている。

■最大のライバルは日系

アフリカビジネスでライバルとなるのかはどこか。競合関係にある企業として28.2%の企業が同じ「日系」と答えた。これ以外では、欧州系21.8%、地場系11.8%、中国系11.8%、韓国系9.1%、米国系8.2%。

製造業に限ると、最大の競合相手は欧州系(24.4%)で、日系、米系、中国系はともに17.1%だった。韓国系は12.2%。(堤環作)