押さえておきたい2012年の国際協力ニュース(1~3月)

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ganasは、押さえておきたい2012年の国際協力ニュースをまとめました。まずは1~3月の動きです。十分に網羅しているとはいえませんが、ご参考まで。

【1月】

■中国の対アフリカ融資、世銀を抜く

フィッチ・レーティングスによると、2001~10年に中国輸出入銀行がアフリカ向けに融資した金額は672億ドル(約5兆8000億円)。これは世銀の547億ドル(約4兆7000億円)を上回った。中国は、対アフリカで最大の融資国。

■ハイチ地震から2年、55万人が依然テント暮らし

死者30万人以上のハイチ地震から2年、55万人以上が依然、テント暮らしを余儀なくされている。人口の7割が失業中。コレラ流行による犠牲者は約7000人。がれきの撤去作業も50%にとどまる。

■2011年のポリオ感染、インドで「ゼロ」に

インドでは、最後のポリオ感染から1年が経過した。これによって、ポリオ野生株の伝播を続ける国はアフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンの3カ国となった。

■ミャンマー政府、カレン民族同盟と停戦合意

民主化を進めるミャンマー政府は、同国の少数民族カレンで構成する反政府組織「カレン民族同盟」(KNU)と停戦することで合意した。KNUは1949年から、独立闘争を続けてきた。

■中国支援のアフリカ連合の本部ビルが完成

エチオピアのアディスアベバに、アフリカ連合(AU)の新本部ビルが完成した。地上20階建てで、アディスアベバで最も高いビル。中国政府は総工費2億ドル(約153億円)を援助した。

■国連事務総長が「私たちの望む未来」を演説

国連の潘基文(パンギムン)事務総長は、国連総会の演説で、5カ年行動計画「私たちが望む未来」について演説。国際社会が取り組むべき「5つの課題」として、①持続可能な開発②紛争・人権・侵害・自然災害の予防と緩和③安心で安全な世界の構築④移行期の国への支援⑤女性と若者の能力を生かす取り組み――を挙げた。

■2011年の災害損失は31兆円、6割が東日本大震災

国連国際防災戦略(UNISDR)によると、2011年の自然災害による死者は2万9782人に上った。この3分の2が東日本大震災。経済損失は3660億ドル(約31兆円)で過去最高。東日本大震災による損失が2100億ドル(約18兆円)と全体の6割を占めた。

■世界の失業者は2億人超、とくに深刻なのが若者

国際労働機関(ILO)の年次報告「世界の雇用情勢2012」によると、世界の失業者は2億人を超えた。より深刻なのは若者で、15~24歳の失業者は7480万人。ILOは、今後10年間で6億人の雇用創出が必要としている。

■2011年の海外直接投資、新興国向け中心に17%増

国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、2011年の海外直接投資額は世界合計で1兆5000億ドル(約129兆円)。不況にもかかわらず、17%の伸びを記録した。全体のおよそ半分を占めるのが途上国・新興国向け。ただアフリカへの投資は、前年比0.7%減の544億ドル(約4兆7000億円)。

【2月】

■世界のスラム人口、2020年までに14億人

国連児童基金(UNICEF)の「世界子ども白書2012」によると、都市に住む子どもは現在およそ10億人。今後は、低中所得国を中心に都市人口は増え、2020年までにおよそ14億人がインフォーマルな居住地やスラムに住むと予測される。

■エジプト人の63%「アラブの春は国民の願望」

米ギャラップの調査によると、エジプト人の79%はムバラク政権の崩壊を支持し、63%が「アラブの春は、エジプト人の変化への願望によるもの」と考えていることがわかった。アラブの春を「外国の影響によるもの」と答えた人は13%のみ。

■中国のリスクは「高齢化」と「格差拡大」

世界銀行と中国国務院開発研究センターは共同で報告書を発表。向こう20年で中国が直面するリスクについて、「高齢化」「労働人口の減少」「格差拡大」「環境負荷」「国際収支の不均衡」などを挙げた。

■世界最大のダダーブ難民キャンプが設営20年目

世界最大の難民キャンプ「ダダーブ難民キャンプ」が設営されて20年目を迎えた。ソマリア難民を受け入れるため、91~92年にかけてケニア北東部に作られたこのキャンプは当初、9万人を収容する予定だった。だが現在は46万3000人が暮らし、うち1万人は難民キャンプ生まれ。

【3月】

■衛生的なトイレへのアクセス、2015年でも達成困難

ミレニアム開発目標(MDGs)のひとつ「安全な飲料水を利用できない人の割合を1990年比で半減する」は達成されたとする一方で、「衛生的なトイレへのアクセスがある人の割合を75%にする」は、2010年で63%、15年でも67%にとどまり、到達できない見込み。国連児童基金(UNICEF)と世界保健機関(WHO)が発表した。

■最貧困層の人口、2008年は13億人

世界銀行によると、1日1.25ドル未満で生活する「最貧困層」の人口は、2008年時点で12億9000万人。これは途上国人口の22%に相当する。だが1980年の19億4000万人、05年の14億人と減る傾向にあり、15年には10億人となる見通し。サブサハラ(サハラ砂漠以南)アフリカの減少ペースは遅い。

■開発プログラムの中心に「障がい者」を据えるべき

国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)などが、開発の文脈で「障がい者」をとらえる国際会議を開いた。学校に通っていない子どもは世界で6700万人いるが、この3分の1が障がい者。ESCAPなどはかねて、障がい者にかかわる項目がMDGsにないことを問題視していた。MDGsを達成するには、国際開発プログラムの中心に障がい者を据えることが不可欠。

■先進国への難民申請、アフガニスタン人が最多

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2011年の先進国への難民申請数は44万1300人で、前年の36万8000人から20%増えた。2003年以来の高い水準。出身国別ではアフガニスタン、中国、イラクが上位3カ国。

■ブラジル経済、英国抜き世界6位に

2011年のブラジルの国内総生産(GDP)が英国を抜き、世界6位となった。英国の経済ビジネスリサーチセンターによると、ブラジルのGDPは約2兆4690億ドル(約200兆円)。世界最大の経済大国は米国。以下、中国、日本、ドイツ、フランスと続く。

■農業用水の需要、2050年までに19%増

国連教育科学文化機関(UNESCO)の「世界水開発報告書4」によると、人口の増大と肉食の増加を受け、2050年までに、世界の食料需要は70%増え、これに伴って農業の水消費量は少なくとも19%増えるという。また、気候変動に起因する水問題の対策費は年間137億~192億ドル(1兆2800億~1兆8000億円)。

■USAIDが新ジェンダー政策

米国国際開発庁(USAID)は新ジェンダー政策を発表した。あらゆるリソースやサービスへのアクセスで、ジェンダー格差を是正し、暴力を減らし、女性・少女の能力を向上させることに重点を置く。長期的で持続可能な開発にはジェンダー平等は不可欠との視点に立つもの。

■エジプト人の85%、米国からの援助に不信感

ギャラップの調査によると、85%のエジプト人が、米国から援助を受けることに反対すると答えた。この比率は、2011年後半の74%から上昇した。米国からだけでなく、世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの国際機関やアラブ諸国からの援助についても同じく反対する比率が増えている。