女性抜きで農業は成り立たない? FAOのデータでジェンダー問題を検証

3月8日は「国際女性の日」。食糧農業機関(FAO)のインフォグラフィックを例に、「途上国の女性」と「農業」の関係について考えてみたい。

■サブサハラの農民、半分は女性

途上国の農業セクターでは労働力の43%が女性だ。しかも1980年と2010年の数字を比べると、すべての地域で女性比率は高まっている(中東は対象に入っていない)。女性の比率が最も高いのはサブサハラ(サハラ砂漠以南)アフリカでおよそ50%。最も低いのはラテンアメリカ・カリブ地域で20%超。人間の胃袋を満たす農業はいまや、女性抜きでは成り立たない。

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■後発途上国で働く女性、79%が農業

働く女性が農業に従事する割合をみると、ラテンアメリカ・カリブ地域では10%前後と低いが、南アジアやサブサハラアフリカでは60%を超える。とりわけ後発途上国(LDC)で働く女性の79%にとって農業は主な生計手段になっている(全世界では48%)。

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■エリトリアの母子家庭、地方では43

アフリカの地方では母子家庭の比率が少なくない。アフリカ全体でみると25.5%。母子家庭の比率が最も高い国はエリトリアで43.2%。以下、ジンバブエ42.6%、ルワンダ34%、ケニア33.8%、コモロ連合31.9%など。

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■農業以外の仕事、鮮明な男女格差

農業だけで生計を立てるのは難しい。そこで重要になってくるのが「農業以外の仕事」だ。ところが途上国の地方で暮らす女性にとって農業以外の仕事に就くのはかなり難易度が高い。表を見ても男女格差は明らか。

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■ケニアのバナナ農園、労働者の75%が女性

女性の賃金労働者の多くは、海外に輸出される農作物を栽培するプランテーションで働いている。ケニアのバナナプランテーションを例にとると、4万~7万人と推測される労働者の75%が女性。これは何を意味するか。

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■女性の土地所有、アラブでは数%のみ

農業にも明確なジェンダーギャップがある。そのひとつが土地の所有だ。途上国で女性が土地を所有する比率は男性と比べて圧倒的に少ない。最も格差が少ないラテンアメリカ・カリブ地域でも、女性所有者は全体の20%以下。オセアニアや北アフリカ・西アジアでは数%に過ぎない。また、女性が土地を所有していても、その面積は男性の土地に比べて狭い(例外はマダガスカル)。

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■女子の教育年数、男子より数年短い

途上国の地方では、男子のほうが女子より長く教育を受けられる。ネパールでは、平均で男子は3年、女子はわずか1年。最も格差が少ないのはパナマ。

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■女性の農民、収穫量は3割少ない

農民の収穫量を比べると、女性の方が20~30%少ない。理由は、農業生産に必要な資源・サービスへ女性がアクセスするのが難しいから。このハンディを失くすだけで、途上国の農業生産は2.5~4%増えるといわれる。これは食料の安全保障にもつながる。