無料でプロのレッスンが受けられる! 俳優を目指す若者たちよ、ベナン・カラビに集まれ!

フェスティバル・スコレア・ユニバーシテの中。外から見ると倉庫のようだが、中はカラフルな装飾が施されているフェスティバル・スコレア・ユニバーシテの中。外から見ると倉庫のようだが、中はカラフルな装飾が施されている

「カルチャースクールをつくるのは私の夢だった」。そう語るのは、ベナンで有名なコメディアンで、ベナンのアボメカラビ市(カラビ市)に2年前にカルチャースクール「フェスティバル・スコレア・ユニバーシテ」を設立したジーン・ケダニさん(32)。このスクールでケダニさんが講師を務める演劇コースの授業料はなんとゼロ。質の高いレッスンが無料で受けられることから毎年の入学者は初心者からプロまで100人にのぼる。「生徒に教えることは私の練習にもなるんだ。だからお金はいらないよ」とケダニさんは笑う。

アボメカラビ市は、ベナン最大の都市コトヌーに隣接する街。同国トップのアボメカラビ大学や多くの企業が並ぶ中心的な場所だ。そのカラビでケダニさんが運営するカルチャースクール兼劇場は、一見すると倉庫のような建物。ところが生徒は演劇部門で100人、ダンスやアート部門も含めると250人にもなる。人気の秘訣は、ケダニさんのつてで集めた「人気講師陣」だ。講師はベナン政府公認のダンサーやラジオのDJまで多岐にわたる。

ケダニさんは小学生の時、テレビでいくつもの声を使いわけて話をするコメディアンを見て、憧れを覚えた。コメディアンを目指したケダニさんが腕を上げるために始めたのが「地方公演」だ。毎年ベナン国内を回り、その土地の高校生や大学生を巻き込んで舞台を行うのだという。「多いときは2000人の観客が集まる。今年でもう16年目になるよ」と語る。

二十代半ばで、イコール・インターナショナル・シアター・ベニン大学に入学。演劇理論を学ぶ。「実践経験を積んだ後は理論を学びたかったんだ。多くの仲間と知りあえたのも大きな財産になった」。彼のカルチャースクールに現在所属する講師陣も大学のつながりで集めることができたという。

2016年に、念願を叶えてカルチャースクールを設立したケダニさん。平日は小学生から大人向けまで全ての演劇クラスの講師を務め、週末は舞台を開催している。「収入は、地元の学校への出張講義で稼いでいる。週8万CFAフラン(約1万6000円)くらいかな」と笑う。多忙な日々を送るケダニさんは「ここをカラビの文化交流の拠点にしたい。将来はベナン最大のカルチャースクールにしたい」と青写真を描く。

フェスティバル・スコレア・ユニバーシテの前で記念撮影。左が筆者、右がケダニさん。ケダニさんはベナン人として小柄な部類に入る

フェスティバル・スコレア・ユニバーシテの前で記念撮影。左が筆者、右がケダニさん。ケダニさんはベナン人として小柄な部類に入る