ゲリラから逃れたコロンビア人の9歳の男の子、「将来は軍隊に入って、殺された友だちの復讐をしたい」

手作りのソファーの上で写真を撮ってと楽しそうに頼んできたモイセスくん(コロンビア・メデジンのアヒサル地区)手作りのソファーの上で写真を撮ってと楽しそうに頼んできたモイセスくん(コロンビア・メデジンのアヒサル地区)

コロンビア第2の都市メデジンにある国内避難民地区に、9歳の男の子が住んでいる。名前はモイセスくん。6歳のとき、コルドバ州モンテリア村から逃げてきた。「将来は軍隊に入って、殺された友だちの復讐をしたい」と言う。以下はモイセスくんの独白。

6歳のころ僕は、3歳の妹、4歳の弟、12歳のお兄さん、お父さんの5人でモンテリア村に住んでいた。そこでは、警察と反政府ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」が対立し、紛争が起きていた。銃を持つ兵士を見るのも、対立した兵士同士がけんかするのも見慣れていた。

FARCの兵士も、警察官もみんな、僕にとってすごく優しいお友だちだった。

お父さんには警察官の親友がいた。時間がある時は、僕にとっては一緒にサッカーをして遊んでくれる友だちだった。お父さんと兵士がけんかになった時は何度も助けてくれたんだ。とても尊敬していたし、今も尊敬している。

ある日、お父さんの親友がFARCの兵士に殺された、とお父さんから聞いた。

大人たちは、死んだ姿は僕に見せられないと言って、お別れもさせてもらえなかった。その時から僕はFARCの兵士を恨むようになった。

12歳になったお兄さんが3年前、FARCに兵士になるよう勧誘された。FARCからお兄さんに与えられた選択肢は、FARCに入るか、村を出るか、FARCに殺されるかの3つだった。僕はそれを聞いた時、FARCの兵士たちは、FARCに入ってほしいから、子どもたちに優しくしていたんだとわかった。

お父さんは、お兄さんの身に危険があることを感じて、それからすぐに家族で村を出た。警察が守ってくれたおかげで、家族みんな無事にメデジンの国内避難民が集まる地域のアヒサルまで来ることができた。

それから3年。僕の夢は、軍隊に入って人を助けること。銃を向けられても怖くないし、僕も銃を持ったことがある。銃がほしい。だから軍人になれる。

あとは‥‥早く退役したい。もし友だちを殺した人にいま会ったら、見ないようにして、彼から遠ざかると思う。でも退役したら、僕の友だちを殺した人を見つけて、復讐したい。

左から順にモイセスくん(9歳)、妹のソフィアちゃん(6歳)、近所に住むファンホセくん(7歳)。将来の夢を聞くと、ソフィアちゃんはバレリーナ、ファンホセくんはサッカー選手と答える(コロンビア・メデジンのアヒサル地区)

左から順にモイセスくん(9歳)、妹のソフィアちゃん(6歳)、近所に住む男の子、弟のファンホセくん(7歳)。将来の夢を聞くと、ソフィアちゃんはバレリーナ、ファンホセくんはサッカー選手と答える(コロンビア・メデジンのアヒサル地区)