フードロス解消とSNS投稿で寄付につながる日本初のアプリ「tabekifu」がリリースへ、通常の半額で外食できることも 

10月11日に都内で開かれたイベント「WORLD FOOD NIGHT2019」でtabekifuアプリについて説明する坂入千佳社長

飲食店が余った食材から作った料理を食べることで、フードロスの解消とNGOなどへの寄付につながる日本初のアプリが11月7日にリリースされる予定だ。その名も「tabekifu」(タベキフ。社名も同じ)。来店する客(ユーザー)にとってはお得な価格で食事できるのがメリット。店側にとっては、食材の無駄を減らすだけでなく、食品ロスの解消をPRすることでブランディング化も可能となる。

tabekifuの仕組みはこうだ。飲食店はまず、tabekifuに広告費を払い、アプリに掲載される。飲食店で食材が余りそうなときや予約人数が急きょ減ったとき、 余った食材で作るメニューをアプリに登録。それを見たユーザーが来店する。この結果、フードロスを減らして収益を出すことができ、店をPRできる機会にもなる。まさに一石二鳥だ。

ユーザーにとってもtabekifuを利用するメリットがある。それは価格がリーズナブルであること。価格は店側が自由に設定できる。tabekifuの坂入千佳社長によると、通常の価格から最大50%の割引を想定しているという。

また、注文した金額300円ごとに1ポイント(1円)がアプリ上でたまる。これは次回の注文で使える。「ポイント制を導入することで、継続して利用してもらいたい」(坂入社長)

tabekifuのもうひとつの特徴は、ユーザーは利用するごとに、自分が寄付したいNGOなどを選び、注文した金額の一部をtabekifuを通して寄付できることだ。また、フェイスブックやインスタグラムなどの自分のSNSに、料理や店の写真やtabekifuについての書き込みを投稿すると、寄付の比率が増える。寄付先は、国連WFP協会や国境なき医師団、ハンガー・フリー・ワールドなど10団体。今後さらに増やしていく予定だ。

ユニークなのは、ユーザーがどれだけtabekifuを利用したかがひとめでわかる「社会貢献スコア」を取り入れたこと。スコアは、「注文金額」「アプリを利用した回数」「お気に入りのレストラン」「何人に紹介したか」「SNSシェア」の5つの項目で決まる。アプリ内で表示される。

坂入社長は「将来は、この社会貢献スコアを友だちと見せ合ったり、企業が人を雇う際の評価指標にもなってほしい。社会を変える行動をどれぐらいしてきたかがその個人の信用の度合いになるような世の中になれば」と話す。

tabekifuはまだ制作中。11月7日にリリースされる予定だ。現時点の加盟飲食店は都内の20店舗ほど。2020年には150店舗、2023年には1300店舗に増やすことを目指す。

ただ実現に向けて苦労も多い。最も難しいのは協力してもらう飲食店を増やすことだ。「私から連絡をした飲食店の7割は返事がない。訪問して説明しても加盟してくれるのは半分ほど」と坂入社長。理由は、仕事のやり方を変えないといけないからだという。

欧州にはすでに、750万ユーザー、1万5000店舗以上が参加する同種のアプリ「too good to go」がある。坂入社長は「日本ではフードロスに対する飲食店の意識が低いと感じることが多い。フードロスについて考えるきっかけを与える場は重要。tabekifuを世界一のアプリにしたい」と意欲を燃やす。

tabekifuアプリの特徴である「社会貢献スコア」をスマートフォンで表示した画面

tabekifuアプリの特徴である「社会貢献スコア」をスマートフォンで表示した画面