持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みを競い合う「SDGsサッカーワールドカップ」(GGW杯)が8月、コロンビア第2の都市メデジンで開かれる。コワーキング空間を提供する組織インパクト・ハブ・メデジンが主催するこのGGW杯予選では、コロンビア全土から20チームが参加する。「GGW杯は、参加者ひとりひとりが地球のために持続可能な行動を起こすきっかけになると信じている」と、GGW杯を担当するインパクト・ハブ・メデジンのスタッフであるジュリアナ・デビラさんは訴える。
GGW杯にエントリーできるのは、フットサルの試合に出場する女性5人を中心とする20人で構成するチームだ。プレイヤーは女性と決まっているが、それ以外のメンバーの性別は問わない。勝敗を決めるのは、「フットサル」の結果だけでなく、それぞれのチームが地元で推進するSDGsプロジェクトの「アクション」「発信・集客」、さらに「チームの独創性」の4つの要素だ。
「SDGsが掲げる異なるゴールを達成するには多面的な評価が欠かせない。だからいろんな要素を組み合わせた」。デビラさんはこう語る。
フットサルの勝ち負けは得点で決まる。またアクションでは、それぞれのチームはSDGsが掲げる17のゴールのいずれかに沿ったプロジェクトを考案。GGW杯当日の少なくとも3カ月前から始め、その成果を競う。
発信・集客では、プロジェクトに人を巻き込む力、プロジェクトの趣旨を伝えて周りから関心を引く力が評価の対象となる。
さらにチームの独創性では、フットサルのユニフォームにどれぐらいオリジナルのデザインを加えられたかが重要だ。
「(W杯といっても)フットサルをやるだけではない。それがGGW杯だ」とデビラさん。「それぞれのチームがSDGsに対して当事者意識をもち、プロジェクトに取り組むことが大切。GGW杯のあともプロジェクトが続くことを、私たちインパクト・ハブ・メデジンは願っている」
これまでに他国で開かれた過去のGGW杯では、たとえばドバイのチームが目標14の「海の豊かさを守ろう」をテーマに活動。海岸に捨ててあった約16万本のたばこの吸い殻を拾い集め、ニュースに取り上げられたことで、海洋生物に与えた被害を市民に認知させた。その結果、ドバイの政府はポイ捨てに対して罰金を課すようになったという。
米国サンディエゴのチームは、目標10の「人や国の不平等をなくそう」をテーマに、さまざまな年齢の女性がプレーできるサッカーリーグを設立。とりわけ高齢の女性がスポーツをするうえで直面する壁に焦点を当てて活動した。
GGW杯予選を勝ち抜いた1チームは、決勝の地・米国ニューヨークへの飛行機チケットをもらえる。ニューヨークに集まったチームは、9月の国連総会のプログラムの一環として決勝リーグを戦う。
GGW杯は、デンマークの女性スポーツ選手が2016年に考案したもの。インパクト・ハブ・メデジンはSDGsを理念に掲げていることから、このアイデアを持ち込み、2019年からGGW杯に向けた準備をスタート。2月中に応募を開始する予定だ。GGW杯は8月22日。
GGW杯のスポンサーは、コロンビア政府、国連開発計画(UNDP)、コンピュータソフトウェア開発大手のSAP、若者のより良い未来へ投資するBOTNAR基金など。スポンサーの協力を得て、会場となるフットサル場は、メデジンで有名な現代美術博物館の敷地内に新設する予定だ。