コロナで収入途絶えたバングラの貧困層に20日分の食料を! ハンガー・フリー・ワールドが緊急支援

小売店でクーポンと引き換えで食料を手に入れるバングラデシュの貧困層ら(写真提供/ハンガー・フリー・ワールド)クーポンと引き換えに小売店で食料を手に入れるバングラデシュの貧困層ら(写真提供/ハンガー・フリー・ワールド)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンの影響で収入が途絶えたバングラデシュの貧困層に、国際協力NGOハンガー・フリー・ワールド(HFW)は5月下旬から食料の緊急配布に乗り出した。対象は、カリガンジ郡とボダ郡で暮らす790世帯。この活動資金を得るため、2000年設立のNGOが初めてのクラウドファンディングに挑戦している。

HFWが貧困層に届けるのは、1世帯あたりコメ20キログラム、豆2キログラム、食用油500ミリリットルだ。約20日分の食料に相当するという。

食料を受け取る際、「3密」にならないよう工夫した。クーポン(引換券)を事前に配り、最寄りの小売店で食料を受け取れるようにしたのだ。

食料は、HFWが直接購入するのではない。貧困層は、クーポンが使える19の店で食料を買う。クーポンと引き換えに、HFWが後日、店に代金を払う仕組みだ。地元の店で買い物してもらうことで、地域経済を活性化させる狙いがある。

食料を店で受け取る人はクーポンにサインする。この方法をとることで、対象世帯がきちんと食料を受け取ったかどうかをHFWは把握できる。

バングラデシュ政府が外出禁止令を出したのは3月25日。網羅する範囲は全国の約75%だ。このあおりで仕事に行けなくなり、困窮した人が急増したといわれる。南アジア経済モデリングネットワークによると、1日1.9ドル(約200円)以下で生活する貧困層の割合は直近3カ月で、これまでの20%から40%に倍増した。

新型コロナの影響で仕事を失ったカリガンジ郡在住のファルハナさんはもともと、夫に持病があるため、一家の稼ぎ頭として働いていた。「だがもう何カ月も働けていない。家にある金目の物はすべて売った。わずかな貯金もほとんど使い果たした」とこぼす。

HFWバングラデシュ支部のアタウル・ラーマン・ミトン事務局長によると、バングラデシュ政府の支援はあまり期待できないという。「政府からの支援は縫製工場で働く人たちが優先。すべての人が平等に政府の支援を受けられるわけではない」

バングラデシュで新型コロナは今後ますます広がる見通しだ。7月6日時点で感染者数は16万2417人(人口は1億6365万人)、死者は2052人。感染者数は1日あたり約3000人ずつ増えている。このペースはとどまりそうにない。

ミトン事務局長は、特に貧困層は感染が拡大しやすい状況にあると指摘する。「貧困層は、食べ物を買うためのお金をどうにかして稼ぐために毎日外に出かけなければならない。また、わずかなお金が手に入っても、食料や医薬品を買うことを優先するため、せっけんを買う余裕がない。これでは、感染拡大を防ぐために重要な手洗いが徹底できない」

HFWは、緊急食料支援の資金に充てるため、初めてのクラウドファンディングに7月8日まで挑戦中だ。すでに目標金額の60万円をクリア。あと20万円集めることを目指す。