礎の石孤児院がザンビアのエイズ孤児に給食を2回出す、ストリートチルドレンにさせない!

5月24日の「アフリカの日」に、コーナーストーン・オブ・ホープが出した特別な給食。ザンビア各地の伝統的なおかずがずらり。子どもに人気だったのは、ヤギ肉のシチュー、魚のトマト煮込み、チカンダ(ピーナツを原料とするソーセージ)。5月初旬にもらった制服を着て、みんなで楽しく「いただきます!」

ザンビアの首都ルサカのスラムで、エイズ孤児のための学校を作り、給食を1日2回提供するNGOがある。礎の石孤児院(本部:東京・品川)だ。同団体ザンビア支部のザイオン・ムタレ(青木)ディレクターは「ルサカのスラムで暮らす極貧のエイズ孤児をストリートチルドレンにさせないために必要なのは教育を与え、給食を出すこと」と熱く語る。

7万円で必死にやりくり

礎の石孤児院が2019年に開校した学校の名前は「コーナーストーン・オブ・ホープ」。ルサカ市内のスラムのひとつ、ンゴンベ・コンパウンド(地区)の一角にある。

この学校に通うのは6~14歳の43人。半数以上が、エイズで片親または両親を亡くした子どもたち。6人は本人がHIV陽性者だ。

クラスは午前と午後の2部制。子どもたちは月曜から金曜まで、4つのクラスに分かれ、自分の学力にあったクラス(幼稚園から小学4年まで)をそれぞれとる。

この学校の最大の特徴は、給食を1日2回出すことだ。午前の部は朝のスナックと昼食。午後の部は昼食とおやつだ。朝のスナックはパンと紅茶。サモサのときもある。昼食はザンビアの主食「シマ」(トウモロコシの粉でできた餅のようなもの)とおかず。おかずは野菜の炒め煮、ソーセージ、豆、肉などだ。

給食の献立にも工夫をこらす。ムタレさんは「予算には限りがある。肉は、安いヤギ。野菜もつける。子どもたちが飽きないようにメニューも変えないと」と苦労を語る。

給食にかかる費用は1カ月1万4000クワチャほど(約7万円)。この予算で、食材と調理に必要な木炭を買う。

調理するのは2人のスタッフだ。1人は専属で住み込み。この女性の4人の子どもはこの学校に通う。「一家の生活を支えるために彼女は、4人の子どもを家に置き、早朝から夜遅くまで働いていた。養鶏と給食の担当者(住み込み)として雇った」とムタレさんは説明する。

コロナで一家夜逃げ

ムタレさんが給食にこだわるのは、十分に食べられず、学校にも行くことができない、スラムに住む極貧の子どもを路上生活者にさせたくないからだ。

「ご飯が家にない、学校に通わせてもらえない、家庭での虐待。この3つが、ザンビアの子どもが路上生活者になる主な原因だ。空腹を満たしてあげ、学校に通わせてあげることはとても重要」とムタレさんは語る。

ムタレさんはこれまで、数えきれないストリートチルドレンを保護してきた。だがせっかく保護しても、多くはまた路上に戻ってしまう。「路上生活を一度経験すると、そこから抜け出すのは大変。時間もかかる」(ムタレさん)

コーナーストーン・オブ・ホープに通う子どもの大半は、家で十分な食事をとれていなかった。「保護者はいても、昼からのんだくれていることも。家族の仕事や収入を聞けば聞くほど、『一体どうやって生活しているのか』と謎が深まるばかり」とムタレさんは話す。

子どもたちの壮絶な状況を物語るのは、コロナ禍での出来事だ。コーナーストーン・オブ・ホープは半年間、新型コロナウィルス蔓延防止で休校した。学校を再開させたときには、9割の子どもは住所が変わっていたという。コロナ禍で収入も途絶え、家賃が払えなくなり、夜逃げしたからだ。

家庭での虐待も深刻だ。「多くの子どもたちはネグレクトの状態。お腹を空かしていても、けがをしていても、寒さに震えていても、気にかけてくれる保護者はいない」(ムタレさん)

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