フェアトレード商品は125カ国で3万品目売られている! 日本はチョコとコーヒーばかり‥‥

ネパリ・バザーロが手がけるフェアトレード製品ネパリ・バザーロが手がけるフェアトレード製品

フェアトレード(公正な貿易)をテーマとするセミナー「映像とトークでつなぐ  もっと!フェアトレード」が2月21日、都内の東京ウィメンズプラザで開催された。日本のフェアトレード界をけん引するキーパーソン5人が登壇。拓殖大学国際学部の長坂寿久客員教授は「フェアトレード商品は世界125カ国で約3万品目が売られている。フェアトレードは、認証商品を中心に成長する産業のひとつだ」と訴えた。

フェアトレードは世界的に拡大する一方、日本での普及はまだまだだ。長坂客員教授は「日本では認知度も低い。メディアもチョコレートとコーヒーしか取り上げない。日常の買い物として浸透していないのが実態だ」と現状を憂慮する。

日本のフェアトレード市場には特徴があるという。フェアトレード製品には、国際フェアトレードラベル機構(FLO)が認証する「認証商品」と、それ以外の「非認証商品」の2つがある。その割合が、2007年の調査では世界で90対10だったが、日本の場合、14対86とその割合が逆で非認証商品のほうが圧倒的に多かった。

日本ではフェアトレード団体を通じてフェアトレード製品が売られることが多い。だが近年は、企業が認証商品の販売を始めつつある。このためフェアトレード市場も、世界的なスタンダードのように認証商品の割合が増えつつあるといえそうだ。

長坂客員教授はまた、神奈川県逗子市で自身が携わるフェアトレードタウン運動を例に、フェアトレードをてこにした地域活性化の可能性についても言及。途上国の“フェアトレードタウン”と自治体レベルで交流することで、日本の町も活気を取り戻すとの持論を展開した。

ネパールでフェアトレードに取り組む会社ネパリ・バザーロ(横浜市栄区)の土屋春代代表は「ネパール人への仕事づくりを、自分の仕事にしたいというのが目標」と活動のきっかけを語った。同社のフェアトレード製品ラインアップは衣料、雑貨、食品など多彩だ。ビジネス上の付き合いだけではなく、ネパールの生産者に貯蓄プログラムを提供したり、生産者の子どもへの教育を支援したりするなど、生活も包括的にサポートしている。

「女性のエンパワーメントを意識した店舗運営を心がけ、フェアトレード商品を主に扱う店へシフトさせてきた」と話すのは、食品や小物などのフェアトレード製品を販売する小売店「ウィメンズショップ パッチワーク」の長谷川輝美代表。中国北京で1995年に国連が主催した第4回世界女性会議に参加したことをきっかけに、長谷川代表は、この店を仲間と共同で立ち上げた。東京ウィメンズプラザに約17年間、店を構えていたが、4月に横浜市に移転する。

長谷川代表はかつて、NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)が運営する「自由学校」を受講したこともある。「連帯経済」のクラスで知り合った友人らと、「フェアトレードショップ大集合」というイベントを開催したり、「フェアトレードのある暮らし」と題した小冊子を作ったりした。「いろんな分野の人たちと連携することで、フェアトレードを普通の人たちにより広めることができると思う」

長谷川代表との出会いをきっかけに、フェアトレードの普及活動に力を注ぎ始めた人もいる。早川幸子氏だ。2009年から「チョコ大使」を自ら名乗り、消費者から注文を受けては、ウィメンズショップ パッチワークで販売するチョコレートにラッピングをして発送する、という活動をスタートさせた。2009年に100個だった注文は、2015年には720個と7倍以上に。「周りの人にフェアトレードチョコをもっと購入してほしい。協力者を募っている」と意気込む。