ロンドン大学院生らがエスニック料理を学内で販売、利益は「アジアの貧しい子どもたち」に

ロンドン大学キングスカレッジ国際政治経済学研究科の大学院生らが、エスニック料理を学内で販売し、その売り上げをアジアの貧しい子どもたちの教育資金へ充てる活動を始める。

発起人はフランスからの留学生ノルウェン・コラソーさん。国際政治経済学研究科には、欧米はもとより、アジアやアフリカ、中南米など30カ国以上の留学生がいる。文化の多様性を活用して、途上国の子どものために何かできないかと考えたのがきっかけだ。

ロンドン大学でも他の大学院と同様、院生は課題に追われる日々を送っている。唯一の楽しみは週に一度のパーティー。ではそのパーティー向けに、スロバキアのピロヒー、ロシアのボルシチ、日本の巻き寿司、フランスのクロックムッシュなど、世界の料理を留学生らが作って、学内のナイトクラブとパブで売ればいいのでは、とノルウェンさんらは思いついた。

客となる他の学生にとっては、さまざまな国の食文化を体験できる貴重な機会になる。飲み物も持ち込み自由にするので、大した金銭的負担もなく、わいわい楽しめるのがウリ。まさにパーティーにうってつけだ。

売り上げから材料費を引いた利益は、セーブ・ザ・チルドレンなどの国際NGOに寄付する。アジアで活動するNGOを通じて、児童労働を余儀なくされる子どもたちに教育機会を与えたい、というのが活動の狙い。

児童労働の問題にノルウェンさんが興味をもったのは、カンボジアへ旅行した15歳の時だった。同年代のやせ細った少女が新聞配達をしている姿を目の当たりにし、大きなショックを受けたという。

「カンボジアの少女は、“生きて”いるのではなく、“生き延びて”いるのだと思った。私たちは、豊かな国に生まれるという幸運に恵まれただけ」

このプロジェクトの名称は「オララ!ムーブメント」。オララ(Olala)とは、フランス語の話者が感嘆する時に発する言葉だ。悪い出来事と良い出来事の両方に対して使われる。ノルウェンさんの口癖でもある。「世の中の悪い出来事を、良い出来事に変えたい」との思いをこのネーミングに込めた。

プロジェクトのメンバーは、フランス人の代表ノルウェンさん(下段中央)のほか、副代表の日本人(著者)、さらにはロシア人、スロバキア人、ブルガリア人、クロアチア人、ベルギー人、マルタとオーストラリア人のハーフの大学院生8人。最初のイベントは、12月中旬のクリスマスパーティー。それ以降も、文化交流を柱に、楽しめるチャリティイベントを学内で企画していく。(ロンドン=佐野藍沙)