エチオピア北部のティグライ州を本拠地とする政党「ティグライ人民解放戦線(TPLF)」が指揮する反政府軍は10月、首都アディスアベバから約400キロメートル離れた都市、デッセとコムボルチャを制圧した。首都の陥落が懸念される中、エチオピアのアビィ・アハメド首相は11月2日、国内全土に緊急事態宣言を発令。武器をもって反政府勢力と闘うよう市民に呼びかける。
アビィ政権はもう終わり?
エチオピア政府は2020年11月、ティグライ州の政府軍施設をTPLFが攻撃したとして同州の州都メケレに空爆を開始した。TPLFはメケレを失うも、ティグライ州内でゲリラ戦を展開。2021年の6月には政府軍に攻勢をかけ、メケレを奪還した。
勢いに乗るTPLFはティグライ州の南にあるアファール州やアムハラ州の都市を次々に制圧した。この中には岩窟教会で有名なアムハラ州の州都ラリベラや、交通の要所であるデッセも含まれれる。
TPLFはアビィ政権と敵対する組織とも共同する。2021年8月には、オロミア州で反政府活動をするオロモ開放軍(OLA)と同盟を結んだ。11月5日にはアビィ政権と対立する8つの野党との協力も発表した。
OLAのスポークスマンは、反政府勢力は首都から160キロメートル離れたオロミア州のゲーバグラチャまで来ており、あと数週間から数カ月で首都に到達するだろうとCNNの取材に答える。
「テロリストを沈めろ!」
これに対してアビィ首相は強固な姿勢を崩さない。
エチオピア政府は11月2日、国内全土に緊急事態宣言を発令するとともに、市民に対して武器をもって地域を防衛するよう指示を出した。また退役軍人らに再び政府軍に参加するよう呼びかけた。メケレや北部の主要都市に対して空爆も継続する。
アビィ首相は10月31日、自身のフェイスブックページでこう訴えた。
「国民は武器をもって行進しよう。私たちは(首都を)守り、テロリストのTPLFを撃退し、沈める」
このポストは人々の暴力を扇動するとして、フェイスブックが掲載を中止した。