トイレは74人に1つ、知的・精神障がいのインド人女性の扱いは「動物以下」

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インドの精神病院ではトイレ以外での排せつは当たり前――。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が12月3日に発表した報告書「動物以下の扱い」が話題を呼んでいる。知的・精神障がいをもつインド人女性たちが収容される施設の衛生環境が劣悪だと報告書は訴える。

インドにあるプネ精神病院のビラス・バイルメ院長はHRWのインタビューに対し「1850人以上の入院患者がいる。しかし病院内で機能しているトイレはわずか25個」と証言した。これは患者74人にトイレ1つの割合だ。

多くの女性が院内を裸足で歩き回っていることを考慮すると、トイレ以外での排せつは健康に重大な悪影響を及ぼすとHRWは警鐘を鳴らす。また、HRWが調査のために訪れた施設の半数は、トイレが排せつ物であふれかえり、ハエがたかり、トイレに隣接する病室には吐き気を催すほどの悪臭が充満していたという。

報告書によると、インドで精神医療に充てられる予算は、保健分野の国家予算の0.06%のみ。州立の精神病院は国内に43カ所しかない。人口100万人当たりの精神科医は3人で、心理学者は0.47人。人員や設備が不足しているため、インドでメンタルヘルスケアを必要とする人のうち治療を受けられるのは20%に満たない。

HRWは、インドにいる障がい者数の明確な公式データが存在しないことが、インドの知的・精神障がい者全員に十分なサービスを提供する際に大きな壁となっていると指摘。障がい者団体と協議して、より良い政策決定のために障がい者の数を調査し直すことを中央政府に求めている。

この報告書は知的・精神障がいをもつ女性に焦点を当て、性別に基づく差別や暴力の実例を取り上げている。衛生問題のほか、職員による性的暴力や電気ショック療法などの事例も掲載する。