値段交渉は値引き目的だけではない! セブ市のマーケットでローカルコミュニケーションの魅力に気づく

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フィリピン・セブ市のカルボンマーケット。大通りに面した一角に土産物屋が集まっている。そのひとつが「フローラ・ストア」だ。そこで私は、キーホルダ6つと小さな風鈴1つを買おうとした。いくらですか、と私が尋ねると、「80ペソ(約180円)」の答え。しかしガイドブックには「フィリピンで土産物を買うときには多くの人が値段交渉をする」と書いてある。そこで私も値段交渉に挑戦してみた。

「ディスカウントしてくれないか」。申し訳ない気もしながら聞いてみた。するとあっさり5ペソ(約12円)安くなった。しかし私は「予算がない。50ペソ(約120円)にして」と粘ってみた。店のオーナーは「75ペソ(約172円)」。「負けてくれないなら、お金がないのでキーホルダをいくつか減らす」と私が言うと、その50ペソで売ってくれた。よくよく考えると、不思議だ。オーナーはなぜ、キーホルダを減らすのではなく、まけてくれたのだろう。

オーナーによると、このストアでは多くの人が50%の値下げ交渉をしてくるという。値段を聞くと初めに提示される金額はキーホルダだと10ペソ。日本円にすると23円程度だが現地の相場だと高い。細かな美しい船の模型は250ペソ(約575円)、大きなチャイムは850ペソ(約1955円)というのが言い値だった。

ユニークなのは、フローラ・ストアが扱う商品はすべて地元の職人が作ったものだったことだ。つまり「オールセブ製」。そのラインアップは手の凝った貝細工の船の模型やチャイムなど高額なものから風鈴、キーホルダなどさまざま。このストアでは1日平均30人の外国人観光客が買い物をするという。韓国人や中国人が多いが、私が訪れたときは日本人の学生が品物を見ていた。

マーケットでは価格はあってないようなもの。値段交渉は、単に値引きをするのではなく、ひとつのコミュニケーションにもなる。オーナーとのやりとりで私も、この店の商品がすべてメイドインセブだと知った。コミュニケーションをとれるローカルな土産物屋でショッピングをする魅力は大きい。(後藤田知恵)