母国から逃れる途中で命を落とす人は2014年に5000人、3分の2は地中海で溺死

0107IOM、imd2014-3世界では母国を脱する人が絶えない。危険な旅の途中で命を落とした人の数を示したのが、国際移住機関(IOM)が制作した上のインフォグラフィックだ。これによると、2014年1月~12月12日に4868人が母国から逃れる途中で亡くなった。これは前年の数字の2倍に上る。

死亡場所をみると、アフリカ大陸と欧州の間に横たわる地中海が断トツ。死者は3224人を数えた。全体の3分の2を占めている。航海に適さない船に乗って欧州を目指すが、到着する前に沈み、溺れ死ぬケースが多いためだ。地中海以外では、インドやミャンマー、インドネシアに囲まれたベンガル湾540人、米国・メキシコ国境307人などが続く。

移民する際の死者が増える背景にあるのは、「紛争をはじめとする“危機”の深刻化」と「無謀な移住」の2つだ。

2014年は、シリア、イラク、リビア、中央アフリカ、南スーダンなどで大きな紛争が続いた。西アフリカではエボラ出血熱も発生した。異常気象の被害を直接受ける地域もある。こうした危機はすべて移住の要因となる。世界には目下、国内避難民3330万人、国内難民1670万人がいるが、この数は第2次世界大戦以降、最も多い。

無謀な移住とは、正規ではない移民の場合、国際犯罪組織に金銭を払って、危険なルートでの母国脱出をサポートしてもらうことを意味する。この問題に対処するためIOMは、安全な正規移住へのアクセスが改善されるべきとの立場をとる。ウィリアム・レイシー・スウィングIOM事務局長は「すべての国家は、助けを求める人を救う義務がある。各国の政府が不正規移民を犯罪の枠から外せば、国境を越えた組織犯罪に対処できるようになる」と話す。

IOMによれば、国境を越えた移民は現在、世界に約2億3200万人。世界人口の約3%を占めている。スウィング事務局長は「北の国々では高齢化が進み、南の国々では若年層が増えている。移住は避けられないだけでなく、必要で好ましいものだ」との見解を示す。