エネルギー問題は「貧困」「ジェンダー」とも関連する、国連フォーラムが勉強会

「国連フォーラム」は、国連の活動に関心のある実務者や研究者、学生、メディア関係者など幅広い人々を対象として、国連に関する議論の場•情報を提供する事を目標として活動している。

その活動の一環として2012年10月11日、国連事務総長官房でエネルギーに関する上席政策アドバイザーを務める高田実氏を講師に迎え、「エネルギーと途上国の開発」のテーマのもと、米ニューヨークで勉強会を開催した。

勉強会では、エネルギーと経済開発・貧困問題の関係の見直しを中心に議論が進んだ。また、1992年の環境と開発に関する国連会議(地球サミット)から、国連事務総総長のもと2012年に立ち上がった「すべての人のための持続可能エネルギー」イニシアティブに至るまでの国連の支援の歴史、そしてエネルギー分野における国連の役割について議論された。

以下が勉強会で議論されたポイント。

■エネルギーは開発と関連する

エネルギーへのアクセス権は、途上国の経済発展・貧困解決を実現するうえで不可欠な要素であるのは言うまでもないが、環境保護、不平等の解決などの視点においても重要な要素の1つである。つまり、持続可能なエネルギーへのアクセスを確保することが、持続的な経済発展はもとより、国連ミレニアム開発目標(MDGs)を達成するうえでも重要なカギとなると考えられている。

また、石油やガソリンといったエネルギーの価格の高騰が国家予算に与える影響が大きい。つまりエネルギーの問題は、貧困やジェンダー、途上国の国家財政に至るまで、さまざまな開発問題と深く関係している。

■開発アクターの環境整備を担うのが国連

国連がエネルギー問題に主導的に取り組み始めたのは、92年の地球サミットからだ。その10年後にはヨハネスブルグサミットが開催され、エネルギーと貧困問題の関係が国際的にも認識されるようになった。

エネルギー問題への関心が高まる中、各国政府や民間セクター、市民社会のアイデアに基づいた議論の場を提供する「すべての人のための持続可能エネルギー」イニシアティブが、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長のもとで立ち上がった。

世界各国では、クリーンエネルギーに対する投資が増加している。そうした中で国連は、途上国の政策支援やキャパシティ•ビルディング(能力向上)から、国際的なルール作りなど、さまざまな開発アクターが行動しやくなる環境を整えるという重要な役割を担っている。

2000年以降、気候変動への認識が高まる中、どれだけの資金をクリーンエネルギーに投資できるのか、また先進国・途上国の政策に対してインセンティブをどれだけ高めることができるのかが、今後の成功のカギになるのではないかと勉強会を経て感じた。(国連フォーラム勉強会)