「2030年までに極度の貧困を根絶する」、セーブ・ザ・チルドレンがポストMDGsを提案

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国際NGOのセーブ・ザ・チルドレンは、「私たちの世代で貧困に終止符を」と題した報告書を発表した。このなかで、2030年までに世界のすべての国が「極度の貧困に終止符を打つ」ための新たな目標を提案した。これは、2015年に達成期限を迎える「ミレニアム開発目標」(MDGs)の“次の目標”(ポストMDGs)の位置づけだ。

ポストMDGsの策定を巡っては目下、国連ハイレベルパネル(諮問委員会)が議論している段階。このパネルの共同議長は、インドネシアのユドヨノ大統領、リベリアのエレン・サーリーフ大統領、英国のキャメロン首相の3人で、日本からは菅直人前首相がパネルメンバーとして参加している。

セーブ・ザ・チルドレンが提案するポストMDGsの中身は下の10項目。

【目標1】2030年までに、包摂的成長と働きがいのある人間らしい仕事により極度の貧困を根絶し、相対的貧困を削減する

【目標2】2030年までに、飢餓を根絶し、発育阻害を半減させ、持続可能な食料、水、衛生設備への普遍的アクセスを確保する

【目標3】2030年までに、予防可能な乳幼児と妊産婦の死亡をなくし、すべての人に保健医療を提供する

【目標4】2030年までに、すべての子どもが質の高い教育を受け、優れた学習成果を得られるようにする

【目標5】2030年までに、すべての子どもがいかなる暴力からも解放された生活を送り、紛争下では保護され、安全で家庭的な環境で成長できるようにする

【目標6】2030年までに、より透明で、説明責任を果たし、包摂的なガバナンスを実現する

【目標7】2030年までに、より多く効果的な資金活用のための強固なグローバル・パートナーシップを構築する

【目標8】2030年までに、災害に強い社会を構築する

【目標9】2030年までに、すべての人にとって持続可能で、健全かつ強靭な環境を確保する

【目標10】2030年までに、すべての人に持続可能なエネルギーを供給する

セーブ・ザ・チルドレンは、向こう20年で極度の貧困を終わらせることは可能だろうとしている。その根拠のひとつが、5歳未満児の死亡数の減少だ。世界では、1990年にはおよそ1200万人が5歳まで生きられなかったが、その数は2011年には700万人以下と半分近くに減った。貧困から抜け出すカギとなる教育をみても、1999年から2009年までの間に、新たにおよそ5600万人の子どもが初等教育に就学できるようになった。

セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルのジャスミン・ホイットブレッド事務局長は「貧困の破壊的なサイクルに終止符を打つための歴史的な機会を私たちは得ている。これらの野心的で、しかも達成可能な新しい目標に全力を注ぐことで、私たちは、極度の貧困を永遠に終わらせることができる世代となる」とコメントした。