小学4年生の4割が「読み書き・計算」できず、セーブ・ザ・チルドレンの報告書で明らかに

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国際NGOセーブ・ザ・チルドレンは、全世界の小学4年生の4割に相当する2億5000万人の子どもが読み書き・計算ができず、この状況に親やコミュニティが不満を抱いている、とする報告書「学ぶ権利」を発表した。学力が極端に低い子どもの多くは、極度の貧困や紛争にさらされている。

報告書によると、インドでは、学齢期の子どもの95%以上が学校に通うようになったが、小学5年生の約半分が、2年生レベルの読み書きや2けたの引き算すら満足にできないという。難しいのは、児童の母親のおよそ半分が学校に通っていなかったため、わが子の教育成果について自ら確認できないことだ。

2015年に達成期限を迎えるミレニアム開発目標(MDGs)は「普遍的な初等教育の達成」を掲げている。この目標に向けて国際社会が協力して取り組んだことが奏功し、2000年以降に、それまで学校に通えなかったおよそ4500万人の子どもが初等教育を受けられるようになった。ただその半面、教育の質が十分でなく、せっかく学校に通っても、学習成果が表れないという問題が深刻になっている。

そこでセーブ・ザ・チルドレンは、2016年以降の国際開発枠組み(ポストMDGs)では、教育の質と学習成果の「衡平性」を達成すべきとの考えを示している。そのために下の提案をまとめた。

1)ポストMDGsの策定に向けた議論に、途上国の市民社会の声を確実に反映させること

2)ポストMDGsに野心的な目標として「教育の質と学習成果の衡平性の達成」を入れること

3)各国が学習成果の進ちょく状況を測定するための細分化されたデータの収集と解析のシステムを充実させること

4)教育援助額を増やし、緊要な教育資源を各国の最貧困層に振り向けること

5)ポストMDGsの目標として、学習成果の衡平性の達成と、国ごとの目標と指標決定の参加型プロセスを支持することで、地域のステークホルダーに対する説明責任の向上を図ること

6)子どもの学習到達度や学校についての情報開示と透明性を確保し、コミュニティのエンパワーメントを図ること

(堤環作)