アジア・オセアニアに進出する日系企業の黒字率、最高は台湾82%・最低はラオス25%

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日本貿易振興機構(JETRO)は12月12日、北東アジア5カ国・地域、東南アジア諸国連合(ASEAN)9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業に対し、現地での業績などについて実施したアンケート結果を公表した。進出企業の黒字率が最も高いのは台湾(81.8%)で、最低はラオス(25.0%)ということがわかった。アンケートの実施期間は2013年10~11月。有効回答は4561社(有効回答率48.7%)。

■2014年は景気が改善する!?

2013年の営業損益(見込み)を「黒字」と答えた企業の割合は64.6%。前年の63.9%からほぼ横ばいだった。

国・地域別でみると、黒字の割合が最も高かったのは台湾で81.8%。以下、パキスタン(74.1%)、韓国(73.8%)、香港・マカオ(72.6%)、タイ(72.4%)と続く。対照的に黒字の割合が低かったのは、スリランカ(38.7%)、カンボジア(38.5%)、ラオス(25.0%)だった。

黒字率を企業の規模で比べた場合、大企業の69.4%に対し、中小企業は56.2%と13.2ポイント低かった。この差がとくに大きかったのはタイと中国で、大企業のほうが中小企業より黒字率が約20ポイント高くなっている。

JETROはまた、景況感についてもヒアリング。2014年の見通しについて、営業利益が「改善」するとした企業の割合が50.6%と、「悪化」の10.7%を大きく上回った。

2014年の景況感を示すDI値(好景気だと100、不景気はゼロとなる)は39.9ポイントで、13年見込みから上昇した。改善の理由は「現地市場での売り上げ増加」を挙げる声が最大。とりわけカンボジア、パキスタン、バングラデシュ、ミャンマーなどではDI値が60ポイントを上回るなど、景況感の大幅な改善が見込めそうだ。

■インドネシア製造業の賃金上昇率は28

日系企業が抱える経営上の問題点は何か。今回の調査では、「従業員の賃金上昇」を指摘する企業が全体で7割を超えた。特にインドネシア、中国では8割を超える企業が問題だと答えた。

これ以外の問題として、「競合相手の台頭(コスト面で競合)」「現地(ローカル)人材の能力・意識」「従業員の質」などがあがった。日系企業にとって経営上の問題点は大別するとコスト面と人材面に集約されることが改めて浮き彫りとなった。

賃金上昇率がとりわけ高いのはインドネシア、ミャンマー、パキスタン、ベトナム、インド、バングラデシュの6カ国だ。2013年の賃金上昇率は前年比2ケタの伸びを記録した。なかでも急激なのはインドネシアで、製造業は28.4%、非製造業でも17.1%と高い。2014年も、2013年と同じ6カ国で2ケタの伸びに達するとみられる。

■事業を拡大したい国1位はミャンマー

アジア・オセアニア20カ国地域で日系企業が向こう1~2年の事業展開をどう考えているかについてもJETROは調査。「拡大する」と答えた企業の割合は59.8%と、前年の57.8%から微増したことがわかった。

国・地域別でみると、企業の拡大志向が最も旺盛なのはミャンマー(84.6%)だ。これに続くのがパキスタン(81.5%)とカンボジア(80.0%)。その理由について質問したところ「売上の増加」や「成長性、潜在力の高さ」を挙げる声が多かった。

フィリピン、スリランカでも「拡大する」と回答した企業の比率はそれぞれ58.1%、51.5%。前年と比較してそれぞれ9.9ポイント、14.0ポイント増えた。

中国で事業を拡大したい、と答えた企業は54.2%。前年から1.9ポイントの増加だった。またインドネシアでは拡大志向の企業は、前年から10.9ポイントも減少した。これは調査対象国で最大の下げ幅。

日本人駐在員の今後1年の増減については、「現状維持」と答えた企業が72.2%を占めた。「減少」は16.5%、「増加」は11.3%だった。駐在員を減らすと答えた割合が最も多かったのは中国の25.2%。

JETROはこのほか、製品材料の現地調達率についても調べた。製造コストに占める材料費の割合は平均61.2%、人件費は同17.2%となっているが、「現地調達率を今後引き上げる」方針を示した企業の割合は74.8%にのぼった。その理由は「低コスト化」(89.5%)と「納期の短縮」(66.1%)。中国の現地調達率は年々上昇しており、2009年の45.8%から現在は64.2%まで高まっている。この数字は、調査対象国・地域で最も高い。