2015年に外国人旅行者が日本で使った金額は3兆4771億円にのぼった。観光庁が1月19日、「訪日外国人消費動向調査(速報)」を発表した。14年の2兆278億円から72%の激増で、初めて3兆円を突破。けん引したのは、前年比47%増の1974万人となった日本を訪れる外国人旅行者の増加と、8000億円にものぼる中国人旅行者の突出した買い物支出だ。外国人旅行者の消費額は、11年の8135億円から、4年間で4倍以上になった計算になる。
■中国・台湾・韓国がトップ3
訪日外国人旅行者の消費額を出身国・地域別にみると、41%を占めたのが中国だ。金額にして1兆4174億円。前年(5583億円)の2.5倍となった。
中国に続くのが、台湾5207億円、韓国3008億円、香港2627億円の東アジア諸国・地域だ。以下、米国1814億円、タイ1200億円、オーストラリア870億円、シンガポール579億円、英国545億円、マレーシア460億円の順。これ以外だと、ベトナムが361億円、フィリピンは340億円、インドネシアは302億円、インドは153億円だった。フィリピンは前年の194億円から1.8倍増となった。
旅行消費額の用途で最も大きいのは、総額の41.8%を占める「買い物代」で、1兆4539億円だった。宿泊費は2番目の25.8%、飲食費は18.5%、交通費は10.6%だった。娯楽サービス費はわずか3%。買い物代のシェアは前年の35.2%から6ポイント伸びている。
なかでも突出するのが、中国人旅行者の買い物代だ。8089億円と、全外国人旅行者の買い物代の6割近くを占めた。これに続くのが、台湾2188億円、香港1100億円。韓国888億円、タイ428億円、米国302億円、シンガポール187億円、マレーシア151億円、ベトナム139億円、オーストラリア138億円、フィリピン115億円。
■買い物のアジア・文化体験の欧州
旅行支出を1人当たりに換算すると17万6000円。前年の15万1000円から17%増えた。出身国・地域別では、トップが中国の28万4000円。14年の23万2000円から23%増加した。
以下、オーストラリア23万1000円、スペイン22万7000円、英国21万1000円、フランス20万9000円、イタリア20万2000円と先進国が上位に入る。途上国の中では、ベトナムの19万5000円が目立つ。タイは15万1000円、インドネシアとフィリピンはそれぞれ14万7000円、12万7000円。米国は17万6000円だった。
1人当たりの旅行支出17万6000円のうち、用途が最も大きかったのは買い物代の7万4000円。宿泊代は4万5000円、飲食費は3万3000円だった。
中国人旅行者の買い物代は16万2000円で断トツ。2位のベトナム(7万5000円)に2倍以上の差をつけた。香港7万2000円、シンガポール6万500円、台湾5万9500円、ロシアとタイ5万4000円と続く。アジア諸国の買い物代の大きさが際立つ。
対照的に宿泊代のウエイトが大きいのは先進国だ。英国が9万7000円でトップ。オーストラリア9万1000円、フランス8万5000円の順。最少は韓国の2万2000円。台湾とフィリピンはともに3万6000円台。中国は5万円だった。
こうした傾向について観光庁は、アジア諸国は短期の滞在で買い物を目的とする旅行が多いが、欧米・オーストラリアは長期の滞在で日本の歴史・伝統文化を体験するために訪れる、と分析する。