目指すはトリリンガル園児! 中国系クリスチャンが展開する英才教育

身体を動かしながら先生と歌の練習をする子供たち

「ジングルベル!ジングルベル!」。白シャツにえんじ色の制服を着た子供たちが3カ月後のクリスマスパーティーに向けてダンスの練習をする。ダンスをする後ろで、他の子供たちは叫ぶような大きな声で元気に英語の歌を歌う。広々とした教室の壁には英語、ミャンマー語、中国語の文字学習に使う表が貼られている。

ヤンゴンのチャイナタウンの大通り沿いに中国系クリスチャンの教会が建っている。そこから通りに一本入ると彼らが運営する幼稚園「キリストメソジスト教会幼稚園」がある。ヤンゴン市内に全部で3つの学校を持ち、このチャイナタウン校は今年で創設から20年を迎える。

小学校入学前の3歳から5歳の子どもが対象だ。この幼稚園では、英語、ミャンマー語、中国語の3カ国語を使った授業をしている。例えば、聖書の内容を理解するための授業を、月曜日と水曜日は英語、火曜日と木曜日は中国語でというように曜日ごとに違う言語で行っている。また、アルファベットや簡単な漢字、それぞれの言語での数の数え方のような日常生活で使う最低限の知識も教える。とはいえまだ幼いため、読み書きよりも声に出して話すことに重点を置いている。

キリスト教系の学校ではあるものの、ここにいる子供たちの中でクリスチャンは少数派にとどまり、65人の生徒のうち、キリスト教徒は4人しかいない。大多数が仏教徒だが、中には礼拝の時間を快く思わない保護者もいるという。また、華僑が運営しているとはいえ、中国系の子供は15人、残りはほとんどミャンマー人だ。しかしそれでもこの学校に通わせる親が多いのは、3カ国語教育という他にない内容に惹かれるからだという。

ミャンマーでは、外国語教育が充実したインターナショナルスクールに通わせようとすると多額の費用がかかる。この学校はミャンマー人向けの私立幼稚園より安い学費であるにもかかわらず、よりレベルの高い教育を受けさせることが、教育熱心なミャンマーの親の心をくすぐっている。インターナショナルスクールが行う母語と英語の2カ国語教育だけでなく、中国人ビジネスマンの増加によって需要が急増している中国語も学ぶことができることは、この学校の大きな魅力であるといえるだろう。

中国語と英語の文字練習表。さまざまな絵柄のものが貼られている

中国語と英語の文字練習表。さまざまな絵柄のものが貼られている