新型コロナ生活相談センターに問い合わせ殺到、外国人は10万円もらえるのか

東京都は4月18日に、東京都外国人新型コロナ生活相談センターを設置した。写真は都庁東京都は4月18日に、「東京都外国人新型コロナ生活相談センター」を設置した。写真は都庁

一律10万円の特別定額給付金を支給すると政府が発表した4月20日の週、「東京都外国人新型コロナ生活相談センター(TOCOS)」に問い合わせが殺到した。給付金がもらえる対象になっているかどうか不安に感じた外国人が電話で確認したためだ。TOCOSをサポートするNPO法人国際活動市民中心(CINGA)によれば、31人の多言語相談員や通訳者(14カ国語対応)が平日の午前10時から午後5時までフル稼働する状態が数週間続いたという。

今回の給付金は、4月27日の時点で住民基本台帳に記載されているすべての人が受給対象となる。だが日本語の情報を断片的に聞いた外国人には自分が該当するかわかりにくい。

CINGAの新居みどりコーディネーターによれば、「住民登録はしていますか」「住民票をどこかの町に入れていますか」「4月27日の時点で住民でしたか」などと簡単な日本語で質問し、それぞれの状況に合わせた情報提供ができるという。

今回のことは、3、4月の引っ越しシーズンと重なったこともあって、住民登録に関係する問い合わせが多かった。法務省によると2020年3月時点で入国した外国人(再入国を除く)の数は15万2162人にのぼる。3月に入国した外国人は4月から新居で暮らし始めることが多い。給付金を受け取るには4月27日までの住民登録は必須となる。

給付金の手続き方法も外国人にとっては難しい。マイナンバー制度をそもそも理解していない外国人が大半を占める。マイナンバーカードを持たなくても生活には支障がないためだ。このためTOCOSは、カードを持たない外国人には「郵便で申請するように」と案内した。

外国人からの問い合わせに対応するのは、14カ国語に対応する31人の多言語相談員や通訳者だ。英語や中国語などのメジャーな言語はもちろん、クメール語やビルマ語を話す相談員までいる。ただ新居さんによれば、問い合わせの4割は、やさしい日本語で対応する。母国語の通訳者がふさがっている場合もあるが、やさしい日本語で説明すれば、理解してもらえることも多いという。

問い合わせの結果、10万円の給付金がもらえないとわかり、落胆する外国人もいる。

難民申請中の外国人の一部は、給付条件の「3カ月を超える在留資格」をもたない。このため受給資格がない。難民申請中の外国人は「特定活動ビザ」で滞在している。ビザの期限は、1カ月、2カ月、3カ月、6カ月とある。1カ月と2カ月の場合、今回の制度から排除される。

失踪した技能実習生も、給付金10万円をもらえないケースが少なくない。「4月27日の時点で住民基本台帳に登録されている」という要件を満たさないからだ。失踪者は元雇用主に見つからないよう、住民登録をしないことが多い。法務省によれば、技能実習生の約3%が毎年失踪している。2019年の失踪者は9052人にのぼる。