ケニアの性被害をなくすカギは「布ナプキン」の普及! 女性グループの事業化をHANDSが支援

布ナプキンの制作・販売を手がける女性グループの3人と原知里さん(ケニア西部のケリチョー郡)布ナプキンの制作・販売を手がける女性グループの3人と原知里さん(ケニア西部のケリチョー郡)

国際協力NGOのHANDSが、ケニア西部のケリチョー郡で生理用布ナプキンを作って売る女性グループのビジネス化を本格的にサポートする。1月30日まで、クラウドファンディングを実施。集まった寄付金を使って、女性たちが会計スキルを学んだり、布ナプキンの材料を買ったりできるようにする。繰り返し使える布ナプキンの普及は、使い捨てナプキンを買う際に売春を強要してくる男性から少女を守る効果がある。

注文殺到も管理できず

HANDSが実施中のクラウドファンディングの目標金額は129万4000円だ。

主な使い道は、布ナプキン制作・販売プロジェクトを立ち上げた原知里さん(HANDSケニア事務所の元インターン)の渡航費34万円、注文管理や会計管理などビジネススキルの研修費用13万9000円、原さんの滞在費(2カ月)13万円、通訳などの人件費(5カ月)11万1000円、ケニア国内でナプキンを生産する企業の見学費7万4000円、ミシンの備品や生地の購入費6万8000円など。

支援先となるのは、ケリチョー郡で布ナプキンを制作・販売する3人の女性グループだ。

原さんはHANDSケニア事務所でインターンを始めた2018年9月、布ナプキンを作る女性3人を支援する「Niko Nikoプロジェクト」を立ち上げた。HANDSがSNSで布ナプキンについて発信したところ、注文が殺到。ところが布ナプキンを作ることはできても、注文や売り上げを管理するにはHANDSのサポートがなくてはならない状態だった。

今回のクラウドファンディングでは、彼女たちがビジネスとして回せるようになることを目指す。

使い捨てナプキンは高い

Niko Nikoプロジェクトでは、HANDSと原さんが共同で、女性グループの布ナプキン作りをバックアップしてきた。ナプキンの材料やミシンを寄付。それ以外にも、女性グループと一緒に、使いやすさや機能にこだわった布ナプキンのデザインを考案。小中学校でも売ってきた。

プロジェクトを立ち上げたきっかけは、使い捨てナプキンを使う少女たちにとって性被害を受けるリスクが高いことだった。使い捨てナプキンを買おうとすると、その見返りに売春を強要してくる男性がいる。その結果、妊娠し、体調が悪くなって通学できなくなり、学校を中退せざるを得なくなる現実もあるという。

対照的に布ナプキンは繰り返し洗って使えるため、ひんぱんに購入する必要がない。つまり男性から売春の被害にあうリスクが減るのだ。

プロジェクト名の「Niko」とは現地語(スワヒリ語)で「私はここにいる」という意味。「(ここにある)布ナプキンを使う少女が増えれば、買春されるリスクを減らせる。少女たちには自分自身の心と身体を大切にして生きてほしい」と原さんは語る。

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