“普通の人”でもルワンダで起業できる! 協力隊OBのタケダノリヒロさんが語る4つの秘訣

ホームステイ先の家族を囲む、スタディツアーの参加者とタケダノリヒロさん(前列右から2番目)。ルワンダのキガリ郊外の村でホームステイ先の家族を囲む、スタディツアーの参加者とタケダノリヒロさん(前列右から2番目)。ルワンダのキガリ郊外の村で

アフリカのルワンダで、スタディツアーや情報発信をする会社を立ち上げた男性がいる。青年海外協力隊(現在のJICA海外協力隊)のOBでもあるタケダノリヒロさん(34歳)だ。「自分のキャラクターではなく、自分のコンテンツで勝負した」と話すタケダさんが考える「起業で成功するためのポイント」は4つある。

起業で年収アップ

早稲田大学を2012年に卒業したタケダさんは、青年海外協力隊(2016~18年)に参加する前の3年間、森永製菓で営業していた。自身について「私には、『アフリカの起業家』と聞いてイメージする強烈なキャラクターはない。“普通の人”とよくいわれる」と冷静に語る。

日本に帰国して8カ月後の18年9月にタケダさんが立ち上げたのが、学生向けのスタディツアーやオーダーメイド旅行をルワンダで企画する会社「アフリカノオト」だ。コロナ禍を乗り越え、5年目を迎える。

「好きな仕事ができるうえ、自由な時間は体感で5倍に増えた。起業してわずか1年半で、年収は会社員時代を上回った」とタケダさんは起業のメリットを強調する。

ブログが威力発揮

タケダさんが考える、1つ目の成功の秘訣は「起業前の準備をする」。具体的には「最低限の収入を確保しておくこと」と「集客の仕組みを作っておくこと」だ。

ここで役立ったのは、協力隊員のときに書き続けた2つのブログだ。

1つは雑記ブログ。文章を書くのが好きで始めたが、結果として重要な収入源となった。協力隊の任期が終わった後に収益化。タケダさんは「ツアー客がもし来なくても、ルワンダで最低限の暮らしはできると思った」と当時の心境を振り返る。

もう1つは、ルワンダの情報に特化したブログ「ルワンダノオト」。雑記ブログのようにアクセス数は伸びなかったものの、タケダさんは別の手応えを得たという。「読者はルワンダに行きたい、興味があるなど熱量が高い人(ツアーの見込み客)ばかり。PV(閲覧)数に現れない価値を感じた」

ルワンダノオトは実際、タケダさんが企画したツアーの集客につながった。タケダさんは「『アフリカ スタディツアー』でネットで検索すると、ルワンダノオトはすぐに表示された。ツイッターで当時3000人のフォロワーがいたのも大きかった」と自分のコンテンツを育てる重要性を訴える。

ニッチだから勝てる

2つ目の秘訣は「ニッチな市場でトップをとる」。

タケダさんによれば、ルワンダのツアー市場はライバルが少ない“ブルーオーシャン”だ。市場が非常に小さいゆえ、大手の旅行会社は参入しない。だが個人経営ならば数百万円の利益でも十分暮らしていける」

とはいえ、ニッチな市場で勝負することに不安はなかったのか。タケダさんには「絶対にニーズはある」との自信があった。

確信を得たきっかけは、協力隊員のときに任地で企画した「農村ホームステイプログラム」での経験だ。「高層ビルが立ち並ぶ首都キガリの外にも足を運んで、ルワンダの本当の姿を見てほしい」との思いから2017年9月に始めたこのプログラムはブログで募集をかけた。初回は国際協力サークルに所属する慶応大学の学生4人が参加した。

協力隊員のため仲介料はとらない。キガリのゲストハウス代(20〜30ドル=現在のレートで2800〜4200円)と同程度の宿泊費を大学生がホームステイ先の家族に払う形をとった。その後も依頼が続いたことから「仲介料をとっても十分やっていける」とタケダさんは起業への思いを強くした。

起業して最初の1年で実際150人を案内した。「想像以上の数だった」と明かす。

1 2