【翻弄される西サハラ(3)】モロッコが進める再生可能エネ開発は「新たな植民地政策だ!」、NGOが批判

西サハラの首都エルアイウン近郊のフォーメルオエッド風力発電所。リン鉱石を採掘するための電力を供給する。モロッコによるリン鉱石の搾取がかねてから問題となっている(写真提供:ウエスタンサハラ・リソース・ウォッチ)西サハラの首都エルアイウン近郊のフォーメルオエッド風力発電所。リン鉱石を採掘するための電力を供給する。モロッコによるリン鉱石の搾取がかねてから問題となっている(写真提供:ウエスタンサハラ・リソース・ウォッチ)

風力発電が占領の手段に

西サハラは自然エネルギーが豊富な地域だ。大西洋に面した海岸部は、北東貿易風により秒速平均8メートルの風がコンスタントに吹く。世界銀行によると、西サハラ沖の風力発電の潜在能力は、モロッコ沖の1.7倍になるという。

サハラ砂漠に覆われた大地も太陽光発電にとって最適な場所。サハラ砂漠の日照時間は年間3600時間といわれ、1平方メートルのソーラーパネルを設置することで年間約1900キロワット時の電気を生み出せる。これは東京の1.5倍だ。モロッコにとって、西サハラでの再生可能エネルギー事業はエネルギー政策の基幹といえる。

「モロッコが西サハラのエネルギーに依存すればするほど、モロッコは西サハラを手放さなくなる。そうなれば、国連、モロッコ政府、サハラーウィの代表者の間で同意した住民投票という和平プロセスがますます遠のいていく」と、エイクマンスさんはくちびるを噛む。(つづく

エルアイウン近郊にあるCIMAR風力発電所。セメント工場に併設され、セメント工場に電力を供給する(写真提供:ウエスタンサハラ・リソース・ウォッチ)

エルアイウン近郊にあるCIMAR風力発電所。セメント工場に併設され、セメント工場に電力を供給する(写真提供:ウエスタンサハラ・リソース・ウォッチ)

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