「ベネズエラ人は国に帰れ!」 病院・学校・仕事場にも影を落とすコロンビアの難民差別

エルビア・エスピナ・ロペスさんエルビア・エスピナ・ロペスさん一家(コムナ13にある福音派の教会の中で撮影)。エルビアさん(真ん中)、母ネルダさん(上段右)、長女ヘネシスさん(上段左)、次女ルットゥちゃん(下段右)、長男エリアスちゃん(下段左)

キャッシュカードのプロポーズ

ただエルビアさんは現状を嘆いているわけではない。コムナ13の中にあるキリスト教福音派(エバンジェリズム)のコミュニティとの出会いやカウンセリングを通して、少しずつ自信を取り戻していった。

「コロンビアで内戦があったとき、大勢のコロンビア人がベネズエラへ避難した。そのときに差別されたコロンビア人もいた」(エルビアさん)。彼女は、憎悪の連鎖を再生産させないよう、差別する人にも理由があると考えるようになった。今は差別の経験を前向きに生きるための力に変えている。

また生活も少しずつ安定してきた。「きのう、銀行口座を初めて開いたの」と話すエルビアさんは、嬉しそうにキャッシュカードを記者に見せてくれた。

この銀行口座は、コロンビアで正式に結婚するため、夫から受けた2度目のプロポーズのプレゼントだそうだ。仕事を得るために必要なPPT(一時保護許可証)の取得や、収入の最低条件を満たすことの難しさから、ベネズエラ難民が口座を開設することは容易ではない。エルビアさん一家にとって銀行口座は前に進むための大きな一歩だ。

「私は夫のことを『夢を叶えてくれる人』と呼ぶの。トラウマを乗り越え、家族みんなで少しずつ夢を叶えていきたい」(エルビアさん)

エルビアさんの子どもたち。エリアスちゃんは現在4歳、ルットゥさんは現在6歳、もう1人とあわせて子ども3人はフレンドリーだ。エルビアさん一家が通うコムナ13の福音派の教会で撮影

エルビアさんの子どもたち。エリアスちゃんは現在4歳、ルットゥさんは現在6歳、もう1人とあわせて子ども3人はフレンドリーだ。エルビアさん一家が通うコムナ13の福音派の教会で撮影

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