貧困脱却を目指すルワンダ女性の上京物語、メイド・中華料理屋のウェイトレス・妊娠‥‥

おしゃれな出で立ちのシャロン・ルラングワさん。貧困にあえいでいるようには見えない(キガリの中心部の近くで取材を受けた後に撮った一枚)。仕事が1年見つからなかっどうする?の問いに「祈るしかない」と答えたルラングワさんは英国国教会(アングリカンチャーチ)の信者だおしゃれな出で立ちのシャロン・ルラングワさん。貧困にあえいでいるようには見えない(キガリの中心部の近くで取材を受けた後に撮った一枚)。仕事が1年見つからなかったらどうする?の問いに「祈るしかない」と答えたルラングワさんは英国国教会(アングリカンチャーチ)の信者だ

ケニア? ウガンダ? クウエート? 

貧しさから一刻も早く脱却したいルラングワさん。有効な方法のひとつは「海外でメイドとして働くこと」。出稼ぎだ。主な行き先は隣国のケニア、タンザニア、ウガンダだという。

ルラングワさんにもかつて、「ケニアでメイドをやらないか」という話が舞い込んだことがある。月収は100ドル(約1万4700円)。キガリでメイドをやったときの4倍だ。

ルラングワさんは迷った。そんなとき継父が言った。「ルワンダにいろ。ここで仕事を探せ。ケニアに行くな。夫(息子の父。結婚はしていないので、厳密には夫ではない)のところへ行け」

だけど息子の父はすでにブルンジにいる。連絡もとれない。「継父は息子の父がブルンジ人でることを知らない。ルワンダに仕事があればいいけど、なかったらケニアに行くしかない」

ルラングワさんの同郷の親友は中東のクウェートでメイドを3、4年やった。「月収は300ドル(約4万4300円)ぐらいだったみたい。クウェートは雇い主からレイプされるとかも聞くし、私は怖い。だけど親友は大丈夫だった」

ちなみに親友はイスラム教徒だ。ルワンダでは1994年のジェノサイド(虐殺)以降、イスラム教徒が増えているという。故郷の村にもイスラム教徒は多く、イスラム学校まである。

小さな食堂を開きたい

貧困から抜け出したい。でも出稼ぎに行くのは難しい。

となると、ルラングワさんにとって現実的な夢は小さな食堂を開くことだ。場所はキガリ市内のキミロンコ市場の辺りか、東部州のカヨンザ、北部州のルヘンゲリといった街も考えている。「人通りが多い場所でないとダメだよね」

ただ小さな食堂を開くにも資本は要る。「60万フラン(7万3000円)ぐらい貯めないと」とルラングワさん。

夢が叶ったら「オムレツ、チャパティ、アガトゴ(煮込み)、ウガリ、じゃがいも、牛肉、鶏肉、なんでも作る。朝食、昼食、夕食と頑張って仕事をしたい」。

食堂でお金を貯めたら、次なる夢はバーを開くことだ。

同郷の友だちで、キガリに12席のバーを開いた人がいる。彼女は別のバーで2年間、月収8万5000フラン(約1万400円)のウェイトレスの仕事をして、開業資金を貯めたという。

「彼女の成功は私に勇気をくれる。一刻も早く私も貧しさから抜け出したい。息子を大学まで行かせるためにも」

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