ベナン南西部のトタ村で仕立屋を経営するプルシェリ・カカさん(左端)と見習いたち(店内で撮影)。カカさんは「ベナンの伝統服ボンバを残したい」との強い思いを抱く
ライバルが増えても構わない
カカさんは見習いを15人雇う。「(見習いが払う)研修費用でお金も入るし、自分の技術をたくさんの人にシェアすることでボンバの文化を残せる」と語る。
アぺジェ・クチュールにいる見習いは全員女子(15~18歳)だ。3年かけてカカさんの技術を学ぶ。ボタンのつけ方、採寸の方法、ミシンの使い方など。早くて3カ月でミシンを使い始めるという。
カカさんのもとで技術を学ぶことを決めた理由について店内にいた5人の見習いは「さまざまなスタイルとデザインを学べるし、カカさんが作る服が美しいから」と口をそろえる。彼女たちの夢は自分の店を将来開くことだ。
見習いたちが独り立ちして自分の店を持てば、ライバルが増える。元見習いの店に客が流れることもある。カカさんの収入は当然減る。それでも「見習いたちが独り立ちして、うまくやっている姿を見ると嬉しくなる。新たな客もやってくるから、元見習いの店に客が流れても問題ない」(カカさん)。
ベナンにも他国と同様に“洋服の波”が押し寄せる中、それに抗うカカさんの姿を見てきた15人の見習いたち。カカさんが抱く「魅力的で美しいボンバを作って、ボンバの文化を残したい」という強い思いは若い世代に伝わっている。
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