辛いだけじゃない! 病気を予防するオーガニック唐辛子を売るスタートアップ企業がベナンにあった

①	自分が立ち上げたニューメガランドについて笑顔で語るボッジ・ウィルフリッドさん(ベナン・アボメカラビで撮影)自分が立ち上げたニューメガランドについて笑顔で語るボッジ・ウィルフリッドさん(ベナン・アボメカラビで撮影)

西アフリカ・ベナンに、オーガニック唐辛子にニンニクやショウガなどを加えたペーストを作って売るスタートアップ企業がある。アボメカラビ市に本社を置くニューメガランドだ。2016年の設立以来、売り上げは右上がりで、今では瓶詰めのペーストが1カ月約800個売れているという。

商品の名前は「ネメラ(NeMeLa)」。最大の特徴は、農薬や化学肥料を使わない唐辛子を原料にしていること。ニューメガランドを立ち上げたボッジ・ウィルフリッドさん(32歳)によると、他社が販売する唐辛子パウダーは、科学的に合成された「窒素・リン酸・カリウム」(NPK)を原料とする化学肥料をまいて栽培した唐辛子を使っているという。化学肥料は、植物に吸収された後、その植物を食べた人の体内で悪い成分に変換されると、胃ガンや盲腸炎などの原因となる場合がある。

ウィルフリッドさんは「化学肥料が使われていない唐辛子で、ベナン人を病気から守るためにこの会社を作った」と言う。商品のラベルにも「Piment thérapeutique(唐辛子治療)」の文字がある。

ペーストに含まれる材料は、オーガニック唐辛子のほか、ニンニク、ショウガ、オイル、塩。唐辛子とニンニク、ショウガを機械で挽いて粉状にし、オイルを加えてペーストにする。完成した商品は赤茶色で、スパイス独特の食欲をそそる香ばしいかおりがする。

唐辛子をパウダー状にしたものはベナンでは多く販売されている。だが、「さまざまな材料を混ぜたペーストはNeMeLaのみ」(ウィルフリッドさん)。ご飯や豆、パンなどにつけたり、スープに入れたりするなどいろんな食べ方がある。食べた人からは「おいしい」と評判だ。

NeMeLaは、品質のお墨付きももらっている。ベナンの食品安全管理中央研究所「LCSSA」の認証も取得済みだ。

この商品をニューメガランドは地元のスーパーマーケットに卸す。1瓶の値段は1000CFAフラン(約183円)。類似製品に比べて値段は高いが、毎月約800個売れているという。1カ月の売り上げは単純計算で80万CFAフラン(14万6400円)だ。

ニューメガランドはNeMeLaは海外でも積極的に販売していく方針だ。隣国のトーゴ、ナイジェリアのスーパーマーケットの店頭にはすでに並ぶ。「いずれはアフリカ全土に商品を展開させたい」とウィルフリッドさんは意気込む。ベナンに来たヨーロッパの人たちもNeMeLaを買って帰るという。

オーガニック唐辛子のペースト以外にも製造している商品がある。その1つがコメ、大豆、トウモロコシのパウダー。牛乳と一緒に混ぜ、火にかけておかゆのようにして食べると、ほんのりと甘みがする。離乳食としても使われる。

数種類のサプリメントも作っている。主力商品である唐辛子ペーストと肩を並べるほど人気なのが、肥満の人向けのサプリメントだ。一箱20粒で2000CFAフラン(約360円)。「毎日4粒飲み続けると2カ月で3キログラム痩せる」とウィルフリッドさんは言う。ベナンでは、中年に入ると太り始める女性が少なくない。

今後の展望についてウィルフリッドさんは「唐辛子などを挽く最新の機械をたくさん買って、会社を大きくしたい」と目を輝かす。

オーガニック唐辛子とニンニク、ショウガをこの機械に入れて挽く

オーガニック唐辛子とニンニク、ショウガをこの機械に入れて挽く

完成した唐辛子ペーストを瓶に詰める

完成した唐辛子ペーストを瓶に詰める