感謝されたいというより「許されたい」、戦場だったコロンビア貧困地区で橋を作る元国軍軍曹

元国軍兵らが立ち上げた、内戦の被害者やその地域を修復するために勤労奉仕活動をする団体「フンダシオン・エキポ・レスタウラドール」の一員であるファビオ・リオスさん。活動を記録したノートはすでに2冊。文字と写真がぎっしり詰まっている

コムナ13の住民は友だち

リオスさんは3年ほど前から、国軍時代の仲間とともにコムナ13を中心にボランティア活動を続けている。活動を重ねるなかで彼らが立ち上げたのが「フンダシオン・エキポ・レスタウラドール」(修復するチーム、の意)という団体だ。2025年10月6日で設立から2年を迎える。

最初の活動は2022年12月、まだ団体が結成される前だったが、メデジン近郊の貧困地区アヒサルで小さな石造りの橋を架けたもの。住民はそれまで、下水が流れ込む細くて浅い川を歩いて渡っていたという。

その後、団体を結成し、毎週土日に活動をするように。また、コムナ13の空き地に共同菜園を作り、住民とともに土を耕し、野菜を植えた。水やりや手入れも一緒にやり、数カ月後に収穫した作物は地域の家庭に配った。さらにごみだらけだった場所を公園に変え、土砂崩れで壊れた家も修復した。

活動の原動力は、この団体のメンバーの「許されたい」という思いだ。「国軍に悪いイメージを持つ人はまだ多い。だからこそ実際に動かないほかの団体や政府とは違い、私たちは自ら行動することで受け入れてもらいたい。コムナ13の住民は今では友だちだ」とリオスさんは語る。

目下の目標は、コムナ13の子どもたちのために新しい公園を作ること。だが実現には約1500万ペソ(約55万円)が必要となる。これまでの活動費は、日本人と米国人の2人が寄せた各200万ペソ(約7万3000円)と、自分たちのポケットマネーでまかなってきた。今後は本格的に寄付を募る考えだ。

「将来はコムナ13にあるすべての地域で活動したい」。そう語るリオスさんは、大きな犠牲を背負わされた人々への謝罪を込めて仲間と活動を続けている。

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