ベネズエラの首都カラカスのスーパーマーケットの前で並ぶ一般市民。外出は極力控え、家を出るのは食料や薬を買うときだけだ他国に支配されたくないが選択肢はない
ベネズエラ国民として望むのはもちろん、ベネズエラは外国(米国)に支配されるべきではないということだ。だが現実として、いまのベネズエラにほかの選択肢はない。
民主的な方法をとりたくても選挙は機能してこなかった。前回の大統領選のときも、マドゥロ政権は「敗北」を拒絶し、それに対して大規模な反対デモが起きたが、デモの参加者を激しく弾圧した。多くの若者が命を落とした。でもなにひとつ変わらなかった。いや、マドゥロ政権は弾圧をさらに強めた。
私たちがいま心配しているのは、第一に米国の攻撃が続き、ベネズエラが混乱に陥ること。第二に、せっかくマドゥロ大統領が排除されたのに、それが無駄に終わることだ。
ベネズエラでは現在、マドゥロ大統領に忠誠を誓うデルシー・ロドリゲス暫定大統領らが新たな政権を樹立し、「マドゥロ大統領の拘束を祝う者は逮捕する」という命令を発し、ベネズエラ国民を脅迫し、いつもの独裁的なやり方を維持している。これまでどおりの独裁体制が続くことを私たちはすごく恐れている。
独裁体制がもし維持されたらどうなるのか。私たちはベネズエラを永遠に去るか、それともここにとどまって何らかの形で命を失うか――どちらかを選ばなければならない。
また国際社会ではいま、ベネズエラの石油について米国が利権を得るのはどうか、といった指摘が出ている。
ひとつ言いたいのは、ベネズエラの石油や鉱物はそもそも、マドゥロ政権とその支持者らに略奪されてきた。ベネズエラ国民は、ベネズエラの資源について、米国やその他の国の企業との公正な取引を望んでいる。それはベネズエラ国民に利益をもたらし、私たちがこの国で豊かで平和な暮らしを送るために必要な、まともな仕事と賃金が得られるものでなければならないと思う。
脅迫・投獄・拷問・殺害‥‥周りに密告者も
ベネズエラの状況を少し説明したい。抗議デモに参加しなければ安心というわけでは決してない。
まず、マドゥロ政権への反対意見を報じるメディアは即座に閉鎖される。その意見を書いた記者は投獄される。
ターゲットはメディアだけではない。マドゥロ政権と違う考えをもつ一般市民を弾圧するために多くの法律がある。それを使って脅迫し、投獄し、拷問し、さらには殺す。
そのひとつが「憎悪煽動禁止法」だ。この法律は多くのベネズエラ人を投獄するために利用されてきた。刑務所で実際、拷問され、ときには殺されることもある。
マドゥロ政権はまた、隣人の言動を政府に密告する責任を負う「協力的な愛国者」を各地域に置いている。もしマドゥロ政権と異なる意見を話したり、SNSで発信したり、マドゥロ政権に反対したりすれば、彼らはそれを政府に伝える。その結果、その人は投獄され、多くの罰を受ける。
また「トゥントゥン作戦」というものもある(トゥントゥンとはドアをノックする音)」。マドゥロ政権に反対の声を上げたら、国家警備隊がその人を探しに家まで来て、ドアを叩き、連行する。
ベネズエラ国内では自由に意見が言えない。恐ろしい。これが現実だ。














