ベネズエラで続く反米独裁政権、支持率2割以下、2024年後半の大統領選でどうなる?

マリア・コリーナ・マチャド氏マリア・コリーナ・マチャド氏(2023年10月25日の記者会見)。マチャド氏のインスタグラムから引用

南米ベネズエラで2024年後半に予定される大統領選がにわかに注目を集めている。2013年から独裁を続ける左派のマドゥロ政権の存続がかかっているからだ。ベネズエラ政治を専門とするアジア経済研究所の坂口安紀主任調査研究員は「マドゥロ大統領の支持率は2割以下。公正な選挙をすれば確実に負ける。公正な選挙の実施は期待できそうにない」と話す。

女性政治家に国民は期待

大統領選のキーパーソンとなるのは、ベネズエラ国民から絶大な支持を得るマリア・コリーナ・マチャド氏(56)だ。マチャド氏は富裕層の生まれ。ベネズエラのカトリカ・アンドレス・ベジョ大学でエンジニアリングを学んだ。

マチャド氏はもともと、政治を監視するNGO「スマテ」(スペイン語で「集まれ」の意)の代表。マドゥロ氏の元ボスだったチャベス氏(2013年に死去)が大統領に就任した1999年ごろから、政権の不正を調べてメディアで糾弾してきた。その後、政治家に転身。2015年に実施された国民議会選挙では与野党含めた全体でトップの票を得た。

マチャド氏が支持される理由は、マドゥロ政権に対する強気な姿勢だ。同じ反政府派であっても、マドゥロ政権との対話を重視する穏健派の政治家に対してマチャド氏は厳しい態度をとる。「私たち(ベネズエラ国民)は今までさんざんマドゥロ政権に騙されてきた。何度言ったらわかるんだ」というわけだ。

坂口さんは「マドゥロ政権に正面からぶつかっていくマチャド氏のガッツにベネズエラ国民はみんな魅力を感じているのだろう」と分析する。

マチャド氏の主張は、ベネズエラ国民が抱く穏健派への失望を代弁している。国民を落胆させたひとりは、反政府派の主要政党・正義第一党の設立者で、穏健派とされるエンリケ・カプリレス氏だ。2012年にはチャベス氏の対抗馬として、2013年にはマドゥロ氏の対抗馬として、大統領選に2度立候補した。

坂口さんは「2012年の選挙では、カプリレス氏が勝っていた可能性が高い。しかし選挙管理委員会がチャベス氏の勝利を宣言すると、カプリレス氏はすぐにそれを受け入れた。それを見たベネズエラ国民は『そんなの不正に決まっている。どうして戦わないんだ。弱腰だ』と激怒した」と言う。

ベネズエラ東部の街シウダーボリーバルの路上にたたずむベネズエラ人ら。経済が崩壊したベネズエラでは、国民の4分の1近くが国を出た。国民は何を思うのか

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