セネガル柔道アカデミーの師範、夢は「柔道と職業訓練を融合させた学校」の開校

ダカールの柔道アカデミーで選手を指導中のアレックス・ジェージュさん。「柔道選手としては大成しなかった」と謙遜するが、ジガンショール州のウスイで柔道クラブも経営する。クラブの名前は、伝説のおじの名前からとって「アンクリン・ジャボン柔道クラブ」

電気工事などの国家資格を

ジェージュさんはスポーツ一家の出身だ。5人きょうだいの上から2番目。兄はテコンドーを、弟2人はサッカーを、一番下の妹はハンドボールをやっていた。「でもスポーツでは暮らしていけない。私以外はみんな辞めた」

そんなジェージュさんの夢は、ダカールに、柔道と職業訓練を融合させた学校(中学校に相当する職業訓練校)を作ることだ。「3年後ぐらいには実現したい。フランスの柔道アカデミーのトップとも知り合いで、助けてくれれば」と期待をにじませる。

「柔道を一生懸命やっても仕事はない。柔道を辞めた後、路頭に迷ってしまう。セカンドキャリアに困らないよう若者に手に職をつけさせたい。これが私の人生のミッションだ」

具体的には、小学校を卒業した11~14歳を対象に、柔道の練習に加えて、「電気工事」や「自動車整備」、「内装やビル設備」などのコースを設ける。期間は3年。セネガル政府が認める、中学校レベルの国家職業資格「職業適性証(CAP)」を取得できるようにする。

わかりやすくいえば“柔道アカデミーの職業訓練校版”だ。「これが実現したら、私は柔道の師範を辞め、経営に専念する。柔道の先生は別のセネガル人にやってもらう」(ジェージュさんの連絡先はdiedhiou.alexandre1@gmail.com)

柔道人口は2000人

セネガルで人気のスポーツといえば、サッカーとセネガル相撲が二強。次いでバスケットボール。柔道はそれ以下のグループだ。

人口1900万人のセネガルの柔道の競技人口はおよそ2000人といわれる。ちなみに1億2000万人の人口をもつ日本で柔道をする人は激減しており、いまや約12万人(とはいえ割合でみると日本のほうがまだ10倍多い)。しかしフランスの競技人口は約53万人と、実数にして日本の4倍以上だ。

アフリカで柔道が最も強い国はエジプト、次にアルジェリア。これを追うのが、セネガルやモロッコ、コートジボアールなど。「エジプトは日本に大量の選手を送り込み、合同練習させている。セネガルは数人がフランスに行くだけ。なかなか厳しい」(ジェージュさん)

ジェージュさんの3人の娘は一時期、柔道をやっていたという。「だが道場の場所が学校から遠くて、勉強との両立が難しくて辞めた」と話す。妻は憲兵隊の隊員で、柔道ではなくテコンドーの有段者。

普段着で取材を受けるジェージュさん。にこやかな表情で、セネガルの柔道選手の人生設計を助けたいと具体的に語る

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