2015-10-01

JICA、理事長交代のお知らせ

国際協力機構(JICA)理事長の交代を下記のとおりお知らせします。

【退任】2015年9月30日付
田中明彦

【新任】2015年10月1日付
北岡伸一

ごあいさつ

2015年10月1日付けで国際協力機構(JICA)の理事長を拝命いたしました。JICAは2008年10月、世界でも有数の包括的な援助機関として新たなスタートを切りました。以来、緒方貞子、田中明彦両理事長のリーダーシップの下、「ミレニアム開発目標(MDGs)」への貢献、平和構築、インフラ開発、「人間の安全保障」などに力を注いで参りました。これら成果を引き継ぎ、国際社会からも国民の皆様からも、さらに賞賛され、信頼されるJICAを目指し、全力を尽くす所存です。

今年は戦後70年にあたります。日本は、まだ戦争の傷の癒えない1954年から開発協力に取り組んで来ました。日本が国際社会に復帰し、その信頼を得るうえで、開発協力は大きな役割を果たしてきました。相手の立場を尊重し対等の立場で協力する姿勢(オーナーシップとパートナーシップ)は、高く評価されてきました。とくに東アジア諸国において、政治的安定が実現され、経済発展が進み、さらに民主化が進んだことは、それぞれの国民の努力によるものですが、日本の開発協力が果たした役割も小さくなかったと考えます。

しかし、1990年代の経済の低迷により、日本の開発援助予算は1997年をピークに、減少し始めました。2001年の同時多発テロ以来、多くの課題が噴出し、他の国々が援助を増やす中で、日本の相対的地位は低下して来ました。その中で、何とか効率的な援助を進めるべく、日本もJICAも必死で努力し、人間の安全保障、環境問題、災害復興などに力を入れ、高い評価を維持してきました。

2015年はJICAにとって重要な年です。2月、日本政府の開発協力大綱が定まり、9月には国連総会で、MDGsに続く新たな開発目標として「持続可能な開発目標(SDGs)」が合意されました。来年5月には伊勢志摩サミットが開かれ、2016年内にはアフリカ開発会議(TICAD)が、初めてアフリカで開かれます。国際協調主義にもとづく積極的平和主義の真価が問われる年です。

そのため、JICAは援助の質をさらに高め、戦略性をさらに強化しなければなりません。そのため、(1)「質の高い成長」と格差是正、(2)普遍的価値の共有と平和構築の推進、(3)地球規模課題・援助潮流への取組の強化、(4)戦略的パートナーシップの拡大・深化、(5)途上国における女性の活躍と社会進出支援などに、重点的に取り組むことが必要です。

また、巨額の国費を預かる公的な組織として透明性と説明責任を適切に果たす義務があります。組織の基盤を強化しつつ、事務の合理化やワークスタイルの見直しを行い、役職員全員そしてJICA事業に関わる全員が、その能力を十全に発揮できる環境も作っていかなければなりません。強い使命感をもって国内外から信頼を得られる仕事に臨む所存ですので、一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

国際協力機構(JICA)

理事長 北岡伸一

プレスリリース:http://www.jica.go.jp/press/2015/20151001_01.html