アフリカと日本のNGOが提言、「ポスト2015開発アジェンダ」の欠点をTICAD Vが補完を

2015年以降の国際開発目標「ポスト2015開発アジェンダ」を議論する国連ハイレベルパネル(HLP)が発表した報告書について、アフリカと日本の7つのNGOは6月1日、歓迎するとの声明を発表した。同時に、横浜市で開催中の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が、HLPの報告書の欠点を埋める方向に国際議論をもっていくことを求める、と述べた。

NGO7団体は、HLPの報告書は全体的に、世界の最貧層が貧困を脱するうえで踏まえるべき多くの課題や原則を盛り込んでいると評価。だがその一方で、過去に交わされた国際公約や、世界がいま直面している課題のいくつかが十分に反映されていない、と指摘した。

7団体は、TICAD Vに対し、HLPの報告書が盛り込む下の7項目を支持するよう求めている。

1)極度の貧困、ジェンダー差別、必須な社会サービス、飢餓についての「ゼロ目標」「グローバルな最低基準」の導入に向けた提案

2)すべての主要な社会的グループで達成された場合にのみ、「ターゲットが達成された」と認定する仕組みの採用

3)ジェンダー平等と女性のエンパワーメントについての個別目標の設定

4)気候変動がもたらす課題がすべての領域に影響を及ぼすという認識、とりわけ気温の上昇幅を2度未満に抑えるよう、温室効果ガスの排出を削減する取り組みを主流化すること

5)飢餓を中心に位置付けること、小規模農家の支援に関する提案

6)さまざまな形態の不平等、持続可能性、アカウンタビリティ、紛争など、現行のミレニアム開発目標(MDGs)の主要な欠落点の統合

7)税と国内資金の動員についてのターゲットの設定

NGOはまた、ポスト2015開発アジェンダの今後のプロセスに向け、TICAD Vは下記を提案すべきと要望した。

1)新たな枠組みを「国際人権基準」と関連付ける

2)国内・国家間の極度の所得格差を縮小させる(極端な格差が、政治の安定や中長期の経済成長を阻害する)

3)教育や保健医療のような必須社会サービスへの普遍的アクセスの達成に向けたコミットメントを強化する

4)新たなターゲットの設定は、HIVエイズ、結核、マラリアを含む保健関連の現行MDGsに見られるような野心度と包括性を最低レベルとして維持する

5)企業の透明性の向上と民間セクターの規制を通じた「開発効果の最大化」と「負の影響の抑制」

6)貧困国の気候変動適応策についての効果的なターゲットと、先進国の温室効果ガス排出量の削減のロードマップ

この声明に署名したのは、African Center for Asian Studies、アフリカ市民協議会(CCfA)、国際協力NGOセンター(JANIC)、North Africa Forum for Development and Human Security、オックスファム・ジャパン、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、動く→動かす(GCAP Japan)。