ミャンマーでイスラム教徒と仏教徒の恋愛はあり?

祖父母の結婚について笑顔で話すジョー・ヘイン・テくん(ヤンゴンのマドラサで)

イスラム教徒だって恋愛したい――。ミャンマー・ヤンゴン市サウスオカラッパ地区にあるイスラム学校(マドラサ)に通う10~17歳の男子生徒7人に「好きな女の子はいるか」と聞いたところ、全員が「いない」と口をそろえた。その理由は「出会いがないから」。このマドラサでは、午前中に男子生徒の授業、午後に女子生徒の授業があり、同年代の異性と会う機会がないという。

ジョー・ヘイン・テくん(17)は公立学校をやめて、このマドラサにやってきた。実は、彼の祖父と祖母は異教徒同士の結婚だった。結婚を機に、祖母は仏教からイスラム教に改宗した。

ジョーくんは「(祖父母が)結婚するとき、親せきの中で反対する人もいたし、賛成する人もいたみたい。今でもこの結婚に反対している親せきはいる。でも、親の結婚のおかげで僕はイスラム教徒として生まれて、イスラム教徒であることを誇りに思っている。僕は、宗教が違う者同士でも結婚していいと思う」と笑顔で話す。

異教徒間での恋愛はミャンマーでは一般的ではない。マドラサの男子生徒の間では気にしない人は多いが、親の世代以上では反対の声が少なくないという。

マドラサには通っていないが、イスラム教徒で、ヤンゴン市内の公立高校に通うキーン・ニーン・ピューくん(18)は「クラスの1割がイスラム教徒。だけど異教徒間での恋愛はない。僕の両親は仏教徒が好きでないので、僕は仏教徒の女子のクラスメートとかかわることもないし、一緒に遊びにも行かない」と少し寂しそうだ。

2015年8月にミャンマーでは婚姻規制法が成立した。イスラム教徒の男性と仏教徒の女性の結婚を制限するのが狙いだ。この法律に対してキーンくんは「実際には異教徒同士の恋愛は少ない。それよりも、宗教の違いによる衝突をゼロにするために政府には動いてほしい」と話す。

マドラサの先生によると、ヤンゴン市サウスオカラッパ地区にはおよそ4つのマドラサがあるという。ミャンマーは人口約5140万人のうち約4%がイスラム教徒だ。少数派であるミャンマーのイスラム教徒と多数派の仏教徒の恋愛が当たり前になる日は訪れるのだろうか。