TICAD VIがあす開幕! ナイロビは9月の北海道並みの寒さ!

ナイロビを悩ませる交通渋滞。信号は機能せず、交通事故が多発するナイロビを悩ませる交通渋滞。信号は機能せず、交通事故が多発する

日本政府が主導し、アフリカの発展について話し合う国際会議「第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)」があす8月27日から2日間、ケニアの首都ナイロビで開催される。「アフリカ=暑い」というイメージが一般的だが、ナイロビは実は涼しい都市。知られざる「ナイロビの顔」を紹介する。

■水シャワーも快適?

ケニアでは7~8月が「冬」だ。ナイロビの場合、昼間の最高気温は20度弱で、早朝と夕方以降は10度前後になることが多い。これは北海道(道央)の9月の平均気温とさほど変わらない。ナイロビは標高1700メートルの高地に位置しているため、国内の他の地域と比べて涼しいのだ。分厚い上着を着込むケニア人も時折、見かける。

だが途上国ならではの問題もある。中級以上のホテルならいざ知らず、TICAD VIの本会議場「ケニヤッタ国際会議場(KICC)」から徒歩10分のところにある1泊2500円の「アクラホテル」は水シャワーしか出ない。日本人にとっては毎日凍えそうになりながら体を洗うことになる。

こうした現状について、ケニアの環境NGOで働くナイロビ在住のケニア人は「寒すぎず、熱すぎず、ちょうど良い気温。水シャワーも平気」と涼しげに話す。

■渋滞で1.5兆円の損失

ナイロビでも熱いものがある。交通渋滞だ。環境NGOで働く男性によると、渋滞しなければ、ジョモケニヤッタ国際空港からナイロビの中心部までは車で10~20分で着く。ところが通勤する車で渋滞がひどい早朝だと1時間はかかる。空港から中心部までの距離はおよそ15キロメートルしかない。1キロメートルの移動に4分かかるとすれば、人間のジョギング並みの遅さだ。

TICAD VIの開催に先立ってケニア政府は、KICC周辺の道路を交通規制し、一般車の立ち入りを禁止した。これに伴い、ここ1週間は渋滞がひどくなっている。ケニアの2大紙の一つ「デイリーネーション」は26日付記事で、TICAD VIの開催中はさらに交通渋滞がひどくなると予想する。

渋滞がケニア経済へ与える影響も無視できないレベルだ。世界銀行が2016年2月に発表した統計によると、ナイロビは交通渋滞で毎年1兆4767億シリング(約1兆5000億円)の損失を被っているという。ケニアの国内総生産(GDP)はおよそ7兆シリング(約7兆円)だから、単純計算でその2割が失われていることになる。

■テロ対策で警官3000人を動員

デイリーネーションによると、TICAD VIの開催で、3000人の警察が警備に当たるという。各国の首脳の滞在先であり、またTICAD VIの公式サイドイベントの開催場所でもある高級ホテルにも、私服警官が目を光らす。KICCの周辺は多くの警官が巡回し、会議場の中には銃をもった警官もいるなど、セキュリティは厳重だ。

警察がここまで警戒するのには訳がある。東隣の国ソマリアに拠点を置くイスラム過激派「アルシャバブ」の存在があるからだ。ケニア政府はアルシャバブの掃討に力を入れてきたが、その報復としてアルシャバブはケニア国内でテロ行為を繰り返してきた。2013年9月には、外国人が頻繁に利用するナイロビのショッピングモールが襲撃され、67人の死者を出した。

TICAD VI会期中は、会議場周辺はレッドゾーンで、関係者以外の立ち入りは禁止。ケニアのケニヤッタ大統領は「ケニア政府はTICAD VI関係者の安全を確保するため、すべての必要な手段をとっている」と自信を見せる。

ケニヤッタ国際会議場(KICC)周辺の交通規制。一般車は立ち入れず、何度も検問が行われる

ケニヤッタ国際会議場(KICC)周辺の交通規制。一般車は立ち入れず、何度も検問が行われる